背中一面に龍の入れ墨を彫った、いかつい男。朝目を覚ますと短刀を背に仕込み、服を着替え向かう先は……台所。卵焼きやタコさんウインナーをかわいいアニメキャラが描かれた弁当箱に詰め、スマホでパシャリ。え、何この人?
新潮社のBUNCH COMICSから単行本が発売中の『極主夫道』(おおのこうすけ)は、「不死身の龍(たつ)」と呼ばれた元伝説の極道の日常を描く漫画です。裏社会から足を洗った彼が新たに歩み出した道は、なんと専業主夫でした。かわいい。
今までの極道生活とは全く違う主夫の道、さぞ不器用なのだろう……と思いきや、料理の腕はかなりのもの。その手際の良さは、熟練の技を感じさせるほどです。一体どこでそんな技を……?
さらに、バーゲンセールへの買い出し、お菓子作り、ご近所付き合い、お掃除……と、まさに主夫の道を突き進む「龍」。何をやらせてもやたらと器用です。しかし、時には(飼い猫のせいで)頭からワインをかぶって真っ赤になったところをご近所さんに目撃されて絶叫される、なんてことも。
また、街を歩いていると、“現役”時代の同業他社、つまりは敵対勢力の極道たちに見つかってしまうときがあります。多数の組をつぶした過去を持つため目を付けられている「龍」、街中で抗争が始まってしまうのか!? ……気付いたらバーゲンセールの特売品の確保要因として買い物に巻き込み、全然商品を確保できていないことをガチ説教していました。つよい。
では、一体なぜ「龍」は裏社会から足を洗ったのでしょうか。その理由は1巻で明かされませんが、妻でありキャリアウーマンとして働く「美久(みく)」が深く関わっているとみて間違いなさそうです。極めて“普通”感ある「美久」は、たまに出る「龍」の極道的センスや言動に仰天しながらもとても仲良くやっている様子。
1コマだけ「龍」と「美久」が初めて出あったときの回想が入るのですが、ここでの龍はそりゃあもう鬼のような顔をしています。一体どうなってこんな2人が結婚して、最終的に「龍」がこんな丸くなったのか。ギャグテイストな作品ですが、ここだけは真剣に気になるところです。
どう見ても裏社会の人間から繰り出される繊細な主夫の技の数々、そして雰囲気に反してアットホームな雰囲気の日常を、1度のぞいてみてください。
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