全国各地で猛威をふるった台風24号の影響で、無人と化したJR山手線の新宿駅のようすを撮影した写真がネット上で大きな注目を集めています。
「街から人が消えた日」と題された4枚の写真を撮影したのはストリートフォトグラファーのおる汰(@m_voice0724)さん。撮影されたのは23時30分ごろ、いつもなら帰宅を急ぐ人々でホームは大混雑しているはずですが……どこにも人の姿はありません。新宿駅の自動改札機が並ぶ改札にも人の気配すらありません。いつもなら人で溢れているはずなのに。え、なにこれこわい。
新宿駅は、JR東日本や京王電鉄、東京メトロなど複数の路線が集約されている国内有数のターミナル駅で、1日の平均乗降客数をあわせると約350万人。JRだけでも1日70万人以上という日本一の乗降客数を誇っており、2011年には「世界で最も混雑する駅」としてギネス世界記録に認定されています。
いつ見ても駅には人、人、人。「まるでゴミのようだ」とアニメ「天空の城ラピュタ」に登場したムスカ大佐のセリフを口にしたくなるほど、人でごった返した混雑が日常となっている新宿駅ですが、この日はいつもと違う光景が広がっていました。
その理由は2018年9月30日から10月1日にかけて日本列島を駆け抜けていった台風24号の影響。鉄道各社は計画運休の実施を発表し、JR東日本も20時ごろから全線運休を発表していました。その結果がおる汰さんが撮影した写真というわけです。
まるで時が止まったような新宿駅の写真はインパクト絶大。Twitterで写真を公開した直後から多くの人にシェアされ、リツイート数は4万8000回、いいねは約14万件を獲得。写真を見た人々から「世界の終わり」「終末感ある」などと大反響を得ることになった4枚の写真はどうやって撮影されたのか。おる汰さんに聞いてみました。
「もしかしたら」仕事に行くついでに寄ってみたら
この日、おる汰さんは台風24号が接近している中、夜から仕事の予定があったそうです。なんてこったい。
仕事の予定を見越して、昼ごろからホームグラウンドとしている渋谷で「人の少ない渋谷の街は面白い」とストリートスナップを撮影していたそうですが、この時に鉄道各社が発表した計画運休のことを知ったそうです。
その後、新宿にも用があって立ち寄ったときに、「もしかしたら世界一混雑する新宿駅に人が居ないという非現実的な環境が広がっているのでは?」と思ったことが、4枚の写真からなる「街から人が消えた日」を生み出すきっかけになったとのこと。撮影を行う前に駅員に声をかけて、撮影許可を取ったそうです。
作品について聞くと、「少し近未来的なSF感もありながら衰退したレトロな廃墟感」を表現しつつ、新宿駅が「無人」という非現実的な光景の魅力を損なうことなく、臨場感や虚無感なども表現できたと、一晩かけたという現像の仕上がりに満足しているようでした。
おる汰さんはストリートフォトグラファーとして、渋谷をホームグラウンドに活動しており、つい先日も幻想的な渋谷の写真をアップしています。見慣れた街の景色をSF映画のワンシーンのように見せる写真が好きな人はTwitterをフォローしておくと良いでしょう。
余談ですが、おる汰さんの名前の由来は「Fate」シリーズに登場するキャラクターで、「時にバイクに乗り、時にはサンタになり、時にはメイドになり、アホ毛がないオルタ」だそうです。ちなみに筆者の推しはネロちゃまです。うむっ!
写真提供:おる汰(@m_voice0724)
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