Webサイト提供スペース「Yahoo!ジオシティーズ」(以下「ジオシティーズ」)が2019年3月末でサービスを終了となることを受け、ジオシティーズ上のサイト「ブロントさん名言集」を保全する動きが出ています。すでに「『burontosan.com』を取得した」と語るkan7110さんに保全を決めた背景を聞いてみました。
「ブロントさん」は2002年ごろの2ちゃんねる(現「5ちゃんねる」)に現れたユーザー。主にゲーム関連の板に降臨し、独特な文体と個性的な考え方を持ったユーザーとして活動していました。2ちゃんねるでの活動当初はいじられキャラとしての側面もありましたが、現在では「おれの怒りが有頂天になった」「確定的に明らか」など数多くのネットスラングを誕生させた偉人として知られています。
ブロントさんの軌跡をたどるサイトは数多くありますが、その中でも「ブロントさん名言集」はネット民からの多くの支持を集める存在として知られていました。しかし、サイト上にはジオシティーズ終了に関するアナウンスはもちろん、ここ数年で更新された痕跡もなく運営者情報も記載されていなかったため、ジオシティーズの終了とともにサイトごと消滅する可能性がありました。
保全を決めたのはブロントさんと同じ「FINAL FANTASY XI」(FF11)プレイヤーだというkan7110さん。ブロントさんがFF11のヘビーユーザーであったことは有名ですが、kan7110さんもFF11を開始当初からプレイし続け、FF11のファンサイトを14年運営する古参プレイヤー。ブロントさんについては「光と闇が両方そなわった最強のキャラクターが愛される証だと思います。私もブロントさんと同じナイトをやっているんですが、あこがれちゃうなー」「FF11のプレイヤーの中では最も知られている存在で、11の中でもいまだに熱狂的なファンが数多くいます」と語っています。
保全を決めた理由については「一流のオンラインゲームであるFF11から生まれ、10年以上たった今でもFF11の世界を超えて愛されるキャラクターは他にいないと思います。Yahoo!ジオシティーズ終了にあたり、その発祥の地ともいえる場所を当時のネットの空気そのままで残しておきたいと考えていました」とコメント。その力の入れようは「『burontosan.com』を取得してしまいましたので、分かりやすいところに残せるかと思います」と語るほど。なお、保全した「ブロントさん名言集」は正式な引き継ぎ先がない場合に代行として再開させるとしています。
kan7110さんはブロントさんに対してだけでなく、ジオシティーズにも思い入れがあるそうで、「ジオシティーズで開いたFF11ファンサイトがきっかけで、多くの友人や読者であった妻と出会うことができました。FF11とジオシティーズには感謝しかありません」とのこと。冬に予定されたFF11の公式ファンイベントにも参加し、ジオシティーズ時代を生きた仲間と会うことが楽しみなのだそうです。
Webに掲載された情報はサービスの終了によって消滅してしまうことがあるため、「デジタル作品・情報のアーカイブ化」はこれまでにも度々議論されるテーマでした(関連記事)。ジオシティーズの終了により、記憶の片隅に残る多くの「懐かしのあのサイト」はネットから姿を消すことになりますが、「ブロントさん名言集」は熱い思いを持ったユーザーによって保全されることとなりそうです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 失われていくデジタル作品をどうアーカイブすべきか? 「メディアが消える時代」のマンガ・アニメ・ゲームを守るには
残すべきものは「作品」だけではない。 - かーずSPのインターネット回顧録:「Hatten」「ゴノレゴ」「ムネオハウス」――“Flash黄金時代”が生み出したもの
「かーずSP」管理人かーずがインターネットの“あの時”を振り返る連載、第1回は「Flash黄金時代」について語ってもらいました。 - 「おまえはモンキーなんだよジョジョーーッ!!」→アカ凍結 DIO様がTwitterの“人間性の否定”違反に引っ掛かる漫画がじわる
人間を超越してしまったDIO様には生きづらいTwitterとなりそうです。 - マシーナリーともコラム:補完が見事! 理想の二次創作! 解釈一致!!! なぜ人類はもっとアニメ版「美味しんぼ」の話をしないのか
世界は大体「美味しんぼ」でできている。 - 「一眼レフと肉眼レフ」 黒い猫さんと黒い一眼レフカメラが寄り添う姿に癒やされる
新しいお友達ニャ。 - 「スタートラインが上級者」「見てるだけでも筋肉つきそう」 NHK「みんなで筋肉体操」の攻め感が話題に
武田真治さん「なんか色々ヤベエ匂いがするなー」。