10月20日〜21日に東京都千代田区のアーツ千代田で開催されたKitaQフェスが、少し変わった注目を集めています。イベント会場内に貼り出されたポスターが、「北九州市って修羅の国なんですか?」「一家に一台ロケットランチャーがあるって、本当ですか?」などダイナミックな質問に、パワフルな回答を返しているのです。北九州の真実がここに……!?
「KitaQフェス」は、北九州市の魅力を伝えるイベント。現地のグルメやプレイスポットなどの体験・紹介だけでなく、若者向けに北九州市の企業説明会の実施や、吉本のお笑い芸人トリオであるロバートのトークショーなども執り行われました。
そんななか、ひときわ来場者の目を引いていたのが、「ウワサの真相!! 教えて★キタキューのおっちゃん」と書かれたポスター。東京育ちの「ボク」が、居酒屋でたまたま知り合った北九州出身のおっちゃんにいろんなウワサの真相を聞いてみる、という内容です。
そこに書かれている質問と回答の内容の一部を、簡単にご紹介します(全文は画像をご覧ください)。
北九州って修羅の国なんですか?
キタ!! 絶対に聞いてくるっち思っとった。待っとったよその質問。じゃあ聞くけど、「修羅の国」っちどんな国? あれやろ、ピストルとか持った怖いおっちゃん達がいっぱいおるみたいな。それはね、映画の見過ぎ。北九州市はフィルムコミッション頑張っとるけ、街中で「図書館戦争」とか派手なロケいっぱいやっとるけど、いたって平和よ。おっちゃんの顔が怖い? ほっとけ!
一家に一台ロケットランチャーがあるって、本当ですか?
「ねぇ見てみて〜! これ買っちゃった♪」「すごい! 顔認証ついてるやつだ〜♪」…ってこんなもん持っとるわけないっちゃ! 一体わしらは何と戦っとるんよ…怖いわ! おっちゃんの切り返しを試すようなマネ、やめて〜。
北九州では盾やヘルメットの貸し出しはありますか
貸し出しは無いけんそれは買うしかないね。ネットでポチッと買ってきー。おっちゃんは止めんけど、君らが思っとる以上に北九州っち人が多いけ、めちゃくちゃ見られて恥ずかしいと思うよ。でもちょっと見てみたいけ小倉来た時は電話ちょうだい。
北九州では石を投げたらヤクザに当たるって本当ですか?
アウトレイジかっちゃ! まぁキタキューのイメージってこんなんやね。でも実際4年前かなぁ、県警が「頂上作戦」で暴力団幹部みーんな捕まえてから全然おらんくなった。見事なもんやね! やけ、メジャーリーガーがたくさん投げても当たらんわ!
「頂上作戦」のような「そうだったのかー」というような知識もあれば、「一家に一台ロケットランチャー」のようなネットのイメージに染まりすぎな質問にまでしっかりと答えてくれるおっちゃんは人格者としか言いようがありません。「ボク」は一回怒られるべきだと思います。
このユニークなポスター、一体どのような思いで作られたのでしょうか。制作に携わった北九州市安全・安心推進課に話を聞いてみました。
―― 実際にこういう質問はよく受けるのでしょうか。
北九州市安全・安心推進課:はい。ネットなどでよく見掛ける他、観光PRの担当者が県外から来た方に実際に聞かれたりします。
―― ポスターの回答やイラストを描いたのはどなたでしょうか。
北九州市安全・安心推進課:広告代理店です。
―― 「キタキューのおっちゃん」のキャラクター設定はありますか。
北九州市安全・安心推進課:今回限りのキャラなので、特に考えておりません。
―― KitaQフェスでこういったしゃれを効かせたポスターは過去に他にもありましたか。
北九州市安全・安心推進課:いえ、今回が初の試みとなります。北九州はネットなどでイメージが良くありませんが、実際そんなことはありません。今後の街の発展のためにも現実とのギャップを埋める必要があると考え、目を引くポスターを作成いたしました。
―― 会場でのポスターに対する反応はいかがでしたか。
北九州市安全・安心推進課:とても良かったです。会場では数字や写真を用いてより具体的に北九州の現状について示したポスターを掲示していたのですが、「キタキューのおっちゃん」のポスターがあったことでそのポスターにも目を通してもらえたと思います。
ネット上では「キタキューのおっちゃん」が広く拡散されましたが、一緒に貼り出されたポスターを見ていただくことで、おっちゃんの話が本当であることを確認できる構成になっています。
このポスターはあくまでも話の「つかみ」に当たる部分で、本題は一緒に貼り出されたポスターの方にありました。これらのポスターでは、刑法犯罪認知数が劇的に改善されていることや、暴力団事務所の跡地が現在ではケーキ屋になっていることなど、詳しい現状が6枚のポスターに描かれています。
以前インタビューしたときにも、「修羅の国」と呼ばれていることに対する思いをユーモアを交えて語ってくれた北九州市。今回のポスターも非常にユニークな内容でしたが、「イメージを払拭したい」という思いは本物であると感じさせられました。
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