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郵便ポストはなぜ赤いのか?(2/2 ページ)

赤じゃなくても良くない?

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1. もともと「郵便=赤」のイメージがあった

 そもそもポストや「〒」マークができる以前から、人々の間で「郵便といえば赤」という認識が広がっていたのではないか、という説です。例えば、日本で郵便事業が創業された当時の配達員の制服には、赤いししゅうがつけられていました。



袖口に郵便徽章の「丸に一引き」の印があり、隣の郵便旗は紅白です。馬に引かせた荷車が赤色に塗装されていたことも、当時の絵巻物などから分かっています

 明治時代に最初に作られた郵便のマークは赤色だったのです。このマークがなぜ赤色だったのかも、やはりよく分かっていません。「江戸時代の飛脚が赤いふんどしをつけていた」などの事実はありますが、郵便のマークとの関連は示されていません。

 ともあれ、逓信省の職員が「逓信省のマークは赤」ということから、ポストの設計を依頼する際に「赤くしよう」と伝えたということが、まず1つ考えられます。


2. イギリスの赤いポストをまねた

 日本の郵便制度は、イギリスに留学した前島密が中心となって整えました。前島がイギリスで見た赤色のポストを模倣して、逓信省が赤を指定した、とも考えられます。

 ちなみに、フランスやドイツなど、ヨーロッパの大陸側の国々の多くは黄色いポストを設置しています。これは、「16〜18世紀ごろに郵便を独占した豪族・タキシス家が使った、プロイセン王家の紋章にあった黄色」に由来するとか、「郵便の使者が通ることを知らせたホルンの色」に由来するといった説があります。その他にも、世界各国でさまざまな色のポストが使われています。


おわりに

 というわけで、逓信省の職員は、何らかの理由で赤色で設計するように依頼。試験設置の結果がよかったので、「見やすい」という理由をつけて正式採用した、というのが推測される流れです。もちろん、初めから「赤色にすれば見やすいんじゃないか?」という発想があったのかもしれません。

 東京スカイツリーと直結している「東京ソラマチ」には、「郵政博物館」という郵便の歴史をたどる施設があります。この記事内で紹介している写真は、そこで撮影したものです。歴代のポストや世界各国の切手など、貴重な資料がたくさん展示されているので、興味のある方はぜひ訪問してみてください。

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