勤めていた職場の残業代未払い案件について、労働基準監督署と相談したというレポート漫画が、分かりやすくて参考になります。堅くて難しそうな事柄を、小ネタを交えながらやわらかく説明しています。
漫画をTwitterに投稿した、ゆ(@ubugenokotori)さんは前の職場で残業をしたにもかかわらず、残業代を支給してもらえなかったといいます。電話で労基へ概要を説明をすると、「明らかな労働基準法違反」との返答。給与明細や雇用契約書など、現物をもとに話したほうが分かりやすいからと、監督署を訪ねました。
担当者のTさんに、残業代が出なかったことを証明できる記録はないかと聞かれた投稿者は、シフト表や記憶を頼りに作った3カ月分の出勤簿を提出。前の職場が出退勤時間を出勤簿への押捺のみで処理し、明確な管理をしていなかったため、自分で作るしかなかったのです。
そこで浮かぶのが、被雇用者が自分で作った書類が証拠になり得るのか? といった疑問。投稿主が不安そうに確認したところ、Tさんの返答は「立派な証拠になり得ます」でした。仮に企業側が証拠書類に不服申立てをした場合、労基は企業に対し反証材料を求めます。本件の場合、企業側は出退勤時間を明確に管理していないので反証できず、被雇用者の言い分が証拠として通るというのです。
こうして、残業代や時間超過といった労働上の問題が、前の職場にあることが認められました。そこでTさんが投稿主に提示したのは、「企業への注意勧告に留め、労働環境を是正させる」か、または「企業に対し残業代等を請求する」という選択肢。後者を選んだ場合はたいてい、企業側に訴えた側の名前が公開されることになるため、相応の覚悟が求められます。
数分間迷った後、投稿主は「両方」を選択。未払い金の額面や労働時間、残業の有無などを書類にまとめて提出し、1時間程度で手続きを終えたそうです。そこから企業への説明や請求などは監督署の仕事となります。
話は申請したところまでで終わりましたが、漫画を投稿してから約3週間後に訴えは結着。ゆさんの口座に、未払い分の報酬が無事に振り込まれていたそうです。なお、Tさんは本件を「残業代未払い事件」と呼び、労働者が不当な扱いを受けることは「事件」であると明言。「出退勤時間の記録や労働法を知ることは、自己防衛として有効」と述べていたとのことです。
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