雪が降り積もった坂道では2WDと4WDのどちらが有利なのか。JAF(日本自動車連盟)が実験データを公開しています。
この実験は2WDと4WDの登坂性能と制動距離を比較しようというもので、滑りやすい坂道を上るとき、下るときの違いをグラフにしてまとめています。
使用された自動車はスズキ「ワゴンR」、トヨタ「プリウス」の2WD(FF)と、トヨタ「C-HR」「ランドクルーザープラド」の4WD。それぞれに新品のスタッドレスタイヤが装着されています。
最初に行われた実験は上り坂での登坂性能テスト。勾配9%と20%の坂を各車が上りきれるかどうかで判断されました。
勾配9%の上り坂では2WD、4WDの全4台が難なくクリアできましたが、続いて行われた勾配20%の上り坂になるとはっきりとした違いがでました。4WDは安定感のある走りでクリアできたのに対して、2WDは坂道の途中でスリップして上りきることができませんでした。広く知られている「4WDは雪道に強い」というのは間違いなさそうです。
次の実験はブレーキテスト。勾配9%の下り坂を時速40キロで走行し、ブレーキをかけて停止するまでの「制動距離」を計測するというもので、結果は2WDが平坦路での制動距離に対して約1.5倍の距離に伸びたのに対して、4WDはなんと約2倍の距離に増えてしまいました。
この結果についてJAFは2WDのワゴンRが790キロ、プリウスが1370キロなのに対して、4WDのC-HRは1470キロ、ランドクルーザープラドは2900キロという重量差が、制動距離が伸びた理由としています。
4WDはたしかに雪道に強いですが、2WDと比べて構造的な理由から重量が重くなりがちで、そのため下り坂では2WDよりも止まりづらくなるそうです。つまり小さくて軽い4WDが最強……いえ、過信は禁物です。
これから寒くなって本格的な冬がやってくると、毎年各地で雪でスリップした自動車による事故が多発します。今回の実験結果を念頭に置き、みなさん安全運転を心がけましょう。
画像提供:JAF
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