「心霊スポット巡礼ツアー」(関連記事)や「SPタクシー、忍者タクシー」(関連記事)といった新しいタクシー乗車体験を次々と世に送り出している三和交通が今度は「三億円事件ツアーリターンズ」をやるというので、乗車体験をしてきました。やっぱり三和交通はタダモノではなかった。犯人と、あのモンタージュ写真の犯人と、握手してきたぞー!
三和交通の「三億円事件ツアーリターンズ」では、犯行現場となった東京都府中周辺で、解説を交えながら犯人が通ったルートを案内してくれます。2016年に開催され大人気だったものを限定復活。2018年11月12日〜12月10日の毎週月曜日5回のみ運行します。ですが残念、既に満員だそうです。
そんな希少なツアーを体験してきました。ツアーを楽しむ前に、まずはどんな事件だったのかおさらいしておきましょう。事件に詳しいほうが、より楽しめるツアーだそうですよ。
戦後最大のミステリー「三億円事件」とは
昭和43年(1968年)12月10日に事件は起きました。昭和43年は横須賀線電車爆破事件など、爆発物や銃を使った大きな事件が頻発していました。「爆弾の時代」が巧みに利用されたのです。
12月10日午前9時15分。現金輸送車が日本信託銀行国分寺支店を出発します。東京芝浦電気府中工場(以下、東芝府中)の従業員4525人分のボーナスを乗せていました。この日は朝から激しい雨が振っていて、回転を速めたワイパーでもフロントガラスの雨滴をぬぐいきれないほどでした。
午前9時20分。府中刑務所にさしかかったところで、現金輸送車の運転手はバックミラーに白バイの影を視認します。白バイ警官は現金輸送車の進路を遮るように白バイを止めると、車に近づいてきて、
「日本信託銀行の車ですね」
と尋ねました。
「はい、そうですが」と運転手が答えると、白バイ警官はやや興奮したような口ぶりで、告げました。
「巣鴨署から緊急連絡があり、支店長の自宅がダイナマイトで爆破されました。この車も爆弾が仕掛けられているとの連絡を受けています。車の中を見せてください」
驚いた運転手が思わず、
「昨夜、車内を点検しましたが、何もなかったです」
と言うと、白バイ警官は、
「それじゃ車の外を調べてみます」
と車の下などをのぞきながら、周囲を歩き始めました。現金輸送車に乗っていた行員4人も車内外を入念に調べます。白バイ警官は単身、現金輸送車の前部にまわり、あおむけになって車体の下に頭を突っ込みました。突然、立ち上がって叫びます。
「ダイナマイトが爆発するから逃げろ!」
行員たちが前を見ると、ボンネットの下から白い煙がものすごい勢いで噴き出していました(のちに犯人が仕掛けた発炎筒の煙と判明します)。驚いた行員たちは慌てて後方へ避難。ところが、白バイ警官は現金輸送車に乗り込み、猛スピードで走り去りました。わずか3分間の出来事でした(以下、この場所を第1現場と呼びます)。
行員の1人は、このとき「危険を回避するために身をていして車を移動するなんて、なんと勇敢な警察官だ」と思っていたそうです。
犯人は見つかることなく、昭和50年(1975年)12月10日に事件は時効を迎えました。
日本信託銀行を出発! 現金輸送車のルートをたどる
さて、話を三億円ツアーに戻しましょう。案内人は山口繁運転手(29歳・仮名)。三億円事件発生当時は生まれていない平成生まれ、イケメンボイスの持ち主です。このツアー、お客さんも三億円事件当時は生まれていない世代である30歳代男性が多いそうです。
ツアーは東京・国分寺駅北口から出発します。最初に尋ねたのは、かつて日本信託銀行があった場所。2018年11月現在は1階がドコモショップ、2階はダイソーです。3億円なんて運び出すからには特別な銀行なのかと思っていましたが、普通の銀行がありそうな立地です。毎月、毎月、ここから大金を運び出していたんですなあ。
山口運転手が事件当日のことを教えてくれます。現金輸送車が東芝府中へ行くためのルートは2種類あり、どちらを走るのかは事前には分かりません。そのため、犯人は事件当日、緑色のカローラで現金輸送車の前を走っていたと考えられています。
というのも、現金輸送車が通るルートをショートカットする脇道沿いに空き地があり、事件発生前に緑色のトヨタ・カローラとシートカバーをかぶせられたオートバイが置いてあったことを近所の主婦らが目撃しています。そのため、現金輸送車の前を緑色のカローラで走りルートを確認、交差点からわき道に入り、空き地でカローラから白バイに乗り換え、第1現場へ向かったと考えられているのです。
事件当時は交差点から脇道に入れましたが、現在は進入禁止になっています。
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