「餓死するかと思った」「顔に生理用ナプキンを……」壮絶な痛みを乗り越えて、整形女子たちが「かわいい」を求める理由(1/3 ページ)
「美容整形トークショー vol.1」レポート。
「私も石原さとみの顔に生まれたかったな〜」
「推しの顔が好きすぎる……」
インターネットで、友達との会話で、なにげなくかわされる話題としての「顔」。あくまで気軽な話題として語る人が多いけれど、自分の「顔」の細部に真剣に向き合い、今の自分とは違う自分になりたい女性たちが、時間とお金と健康と、人生のあらゆるものを徹底的につぎこんでいるジャンルがある。
それが、美容整形。
現在、美容整形に関心のある女子たち、そして美容整形を実際に行っている女子たちは、TwitterやInstagramといったSNSで、匿名での情報発信が気安く行えるようになった。「整形垢」と呼ばれる彼女たちは、「このクリニックにはこういう施術がある」「この施術をしたらこうなったよ」という情報を発信し、ポジティブに美容整形にチャレンジしている。
なかには「渡韓」――日本に比べて美容整形がスタンダードなものとされ、施術やクリニックの種類も豊富な隣国・韓国に渡航して、現地で整形を行う人も少なくない。累計数百万円以上をかけ、壮絶な痛みと腫れにさいなまれるダウンタイムを耐え、自分の理想の顔と人生を手に入れるために、さまざまな犠牲を乗り越えている。
世間の偏見や、失うものを物ともせずに、美容整形に飛び込む彼女たちは、何を考え、何と戦っているのだろうか?
去る10月、新宿ネイキッドロフトにて、Twitterで話題の人気整形女子4人が、美容整形の理由から施術の内容まで、たっぷりと語ったイベントが開催された。その名もずばり「美容整形トークショー vol.1」。自分の顔や見た目に真剣に悩んでいる女性たちに向けて発信された内容を、ねとらぼでもお届けしたい。
「前から見ると普通なのに、横から見るとゴリラだよね」
「120%自分の努力と金の力で作られた自分の顔が愛しい!」
顔面のビフォー・アフター写真とともに整形箇所を一覧し、こう宣言したツイートで一躍インターネットで有名になったのが、美容整形に総額700万をつぎこんでいる、明治さん(@meme_metan)。
K-POPアイドルのなかでも絶世の美人として語られることの多いキョルギョン(PRISTIN)を目指して施術をかさねたというその顔は、高くて筋のとおった鼻に、こぼれ落ちそうな目、つんとした顎まで、完璧なまでの「お人形さん」だ。
しかし、明治さんは子供のころから「美しい顔」への執着をつのらせていたわけではない。イベントの皮切りとなった「整形に踏み切った理由は?」という質問に対しても、「昔はむしろ自分のことをかわいいと思っていたくらい」なのだと語りだした。
「でも、上京してメイド喫茶のバイトに応募したときに気づいたんですよ。本当にかわいい子の顔って、自分と全然違うんだって」
そこで「かわいくなるには目を大きくしないと!」と思い、アイプチでの二重メイクを行うようになったが、好きな男性と温泉旅行に行く約束をとりつけたのをきっかけに、埋没法での二重整形に踏み切った。
「周りにも『かわいいね』と言われる機会が増えたんですけど……コスプレイヤーとして活動しているときに、『私、横顔がめちゃくちゃブスじゃない!?』と衝撃を受けました」
確かに、人間の顔の印象は正面・ななめ・横から見たときで全然違う。女子は「自分ができるだけ理想的に見える角度」で写真に撮られようと努力するものだが、コスプレイヤーとなると、イベントで、自分の意にそまない角度から撮影され、世に出したくない写真を勝手にSNSに放流されることも多い。
「横顔が、ゴリラだったんですよ。鼻よりも口が出っ張っていて、顎はひっこんでいて……。そこから鼻や輪郭の整形について調べだして、私がかわいくなるには『両顎(あご)手術』をしなくちゃだめなんだと知りました」
両顎手術とは、ざっくり言うと「上下の顎の骨を切って、顎の位置を変える手術」のこと。上下の顎のアンバランスによってかみ合わせに支障が出る「顎変形症」の治療法として考案されたが、「骨を切る」のだから経過は壮絶だ。数ある整形手術のなかでも、もっともハードルの高いものとされている。
明治さんがそんな「両顎手術」に踏み切ったきっかけは、なんと当時の上司の一言だった。
「一緒にごはんを食べてるときに、上司が『前から見ると普通なのに、横から見るとゴリラだよね』って言ったんです。それでもうその言葉が頭から離れなくなって。会社やめて、水商売でお金ためて、渡韓しました」
今回のイベントの発起人であるみゅうちゃん(@miu___miu___u)さんも、何度も渡韓して美容整形し、明治さんと同じ「両顎手術」まで済ませている。総額300万円以上をかけている“高額課金者”だが、最初のきっかけは「当時の彼氏の言葉」と明かす。
「高校のころに付き合っていた彼氏が、ケンカすると私の顔について触れてくる人で。あるとき『こっちだってお前みたいなブスとつきあってやってるんだよ』と言われて、じゃあかわいくなってやろうと思ったんです」
世間は折しも涙袋メイクの最盛期。親には言えないまま、美容整形人生がスタートした。
「私、ロリ顔の女の子にすごく憧れてるんですね。だから、ワシ鼻なのがコンプレックスで。高校生のときに一人でこっそり渡韓して、鼻の骨を削りました。骨って再生するらしくて、削っても削ってもはねかえってきちゃうので、ほんと泣きそうになる。今は、プロテーゼを2ミリ入れて押さえつけるという手段に出ています」
残りのメンバーのいきりちゃん(@ikirichan)さん、肉寿司(@uni__oishi)さんも、学校やバイトで、他人と比較されたり、容姿をいじられたりするなかで「もっとかわいくなりたい」という気持ちをつのらせ、今に至っている。
「女の子って、人生の途中までは自分のこと、かわいいお姫様だって思ってるものじゃないですか。私もそうだったけど、だんだん顔面格差に気づいて。自分がどんなにいい人でいようと努めても、周囲には関係ない。どんなに気を配っても、顔がいい、には勝てないんだよね」(いきりちゃん)
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