自身が制作した同人誌を無断でサイトに掲載されたとして、漫画家が1000万円の損害賠償を求めて、違法同人誌サイトを訴えていることが分かりました。原告は商業誌でも活動歴のある漫画家で、当初、被告に対し無断転載を指摘するとともに損害賠償を求めましたが、被告側から提示された“使用許諾相当額”はわずか「317円」だったため、今回の訴訟に踏み切ったとしています。
被告は福岡のアプリ開発・ホームページ制作会社とその代表者。被告らは自社が運営するサイト「萌えアヘ同人」「エロマンガピーポー」(どちらも現在は閲覧不能)に、原告の同人誌3冊を無断で掲載し、公衆送信権を侵害したとのこと。なお、どちらのサイトもいわゆる「アップロードサイト」(利用者が同人誌をアップロードして共有するサイト)ではなく、被告自身が同人誌のアップロード(著作権侵害)を行い、その広告費によって収入を得ていたとみられています。
損害賠償額については、著作権法114条1項(※)に基づき、サイト上での閲覧数と、同人誌1冊あたりの利益額を掛けて算出。3冊合計での閲覧数は約5万2000回にのぼり、合計被害額は2000万円を下らないと判断したことから、損害賠償請求権の明示的一部請求として、1000万円および遅延損害金を支払うよう求めています。
※公衆送信権の侵害に関して、著作権者は、公衆送信された数量に単位数量あたりの利益の額を乗じて得た額を損害額の根拠とすることができる
同社は2007年創業のITベンチャー企業で、スマホアプリやWebサイトの企画制作、コンサルティングなどが主な事業。福岡市が主催するスタートアップイベントに登壇したり、経済産業省が定める「IT導入補助金」の支援事業社として登録されていたりと(※)、表立っての活動も多かっただけに、今回の訴訟は各方面に影響を与えそうです。
※経産省に問い合わせたところ、同社が登録をしていたのは平成28年度だけで、また期間中の補助金の利用実態はなかったとのことでした
なお当初、原告側から損害賠償を求められた被告は、賠償額について“使用許諾相当額”として「合計317円」を支払うと提案していましたが、これは当該作品によって得られた広告料に、さらに独自の「二次著作貢献度(5%)」を掛けて算出したものと説明。原告の作品はいずれも同人誌(二次創作)であり、「原作のストーリー、キャラクター等に相当程度依拠しており、二次著作の貢献度がきわめて低い」とし、得られた広告費約6300円のうち、5%にあたる317円を原告に支払うとしていました。
【※12月13日9時追記】一部表現を修正しました
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他にも「同人の方がいいってホント?」「電子書籍よりも紙の本で買ってほしいのが本音?」など聞いてみました。