2018年9月23日、種子島宇宙センターから国際宇宙ステーション(以下、ISS)に補給を行う宇宙船「こうのとり7号機(HTV7)」が打ち上がりました。
打ち上げ5日後にはISSとの結合に成功。物資の移送後は、ISSから分離し地球に再突入を行い、こうのとり7号機のミッションは無事に終了しました。また再突入の直前には、小型回収カプセルの分離にも成功しています。
この「ISS計画を支える超重要な補給機」であるこうのとりを運用しているのが、茨城県にある「JAXA筑波宇宙センター」です。
筑波宇宙センターはJAXAが運営している研究開発施設。こうのとりの各種研究開発・運用の他にも、人工衛星やロケットなどの開発、研究や、宇宙実験棟「きぼう」を使用する宇宙飛行士へ訓練を行うなど、日本の宇宙開発の要ともいえる重要な拠点です。今回はこの筑波宇宙センターに併設されている展示館・スペースドームで、こうのとりに会ってきました。
ISSへの補給を担う超重要な補給機「こうのとり」
スペースドームに入って早速向かったのが、施設右奥にある実物大のこうのとり(HTV:H-II Transfer Vehicle)です。
想像以上にこうのとりは巨大! 高さ約10メートル、横幅約4.5メートル。大型バスがそのまますっぽり入るくらいの大きさです。
こうのとりは、ISSへ補給物資を届ける目的で製造されました。これまで7回に渡って同種の補給機が打ち上げられていますが、全て成功を収めています(2018年12月現在)。
こうのとりは物資を搭載するエリアが2つに分けられています。1つ目が先端にある「補給キャリア与圧部」です。食糧や実験器具などISS内で使われる資材が詰め込まれており、現地で宇宙飛行士が直接乗り込んで荷下ろしをします。
もう1つがこうのとりの中央付近にある「補給キャリア非与圧部」。ここは船外で使われる実験装置などを搭載しておくエリアで、側面からパレットを使って収められます。なお、エリアは何と開けっ放しのままでISSまで飛んでいきます。そもそも船外の宇宙空間で使う部品であり、もちろんきちんと固定されているとはいえ、何とも大胆な……!
また補給物資に合わせ、今回のこうのとり7号機に初めて搭載されたのが「HTV搭載小型回収カプセル」です。補給ミッションを終えたこうのとりは大気圏に再突入し廃棄されるのですが、この小型回収カプセルだけはその際にこうのとりから分離して地上へ戻ります。ISS内で生成された試料を無事持ち帰りました。
みんな大好き!? 「H-IIBロケット」も間近に
そんなこうのとりを飛ばしているのが、こちらも皆さんも大好きな国産ロケット「H-IIBロケット」ですね。スペースドームには、この20分の1の模型を展示しています。
H-IIBロケット最大の特徴は、日本で初めて作られたクラスターロケットであること。クラスターロケットとは、単体のエンジンを複数個束ねて搭載したロケットを示します。
H-IIBロケットでは「LE-7A」というエンジンを2つ搭載し、出力を大きくしています。そのかいもあって、90年代に日本で使われていた「H-IIロケット」のペイロード(荷物の可搬量)が最大10トン程度だったのに対し、H-IIBロケットでは16.5トンまで対応可能となり、補給物資を満載したこうのとりも問題なく搭載できるようになっています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- JAXA筑波宇宙センターに潜入! 普段は入れないところまで入ってきました
ロケットに広告が出せるかもしれないというお話まで飛び出して来ましたよ。 - 宇宙を模した閉鎖環境に2週間滞在 JAXAが試験モニターを募集中 協力費は38万円
参加者はISS滞在を模したストレス負荷を受けつつ、さまざまな課題に取り組む。 - 俺疲れてるのかな…… JAXAの構内案内図が遠くからだと萌えキャラに見える不思議
ほら、ピンク髪の少女がうっすらと……。 - 宇宙を夢見る人向けVRコンテンツ ロケット打上げ体験やJAXA施設を見学できる 「おウチでJAXA」
「H ‒II A ロケット」はJAXAと三菱重工業の協力を得て普段のメディア撮影場所とは異なる地点から特別に撮影。 - 「ぐでたま」宇宙へ行っちゃった JAXAとの異色コラボで「やる気のない宇宙飛行士」誕生
宇宙に行ってもぐでっとしてそう。