Google社員の河本健さんが自身のTwitter(@kenkawakenkenke)で公開したスマートフォン用アプリ「ARで見る」が、非常に革新的で便利と注目を集めています。3辺の大きさの数値を入力すると、実物大の大きさをカメラでAR表示してくれます。「買った家電が思ったより大きくて置けない」といった事態を未然に防いでくれそうです。
使い方は、通販サイトなどで表記されている寸法のテキストを選択して、「共有」から「ARで見る」を選択するだけ。カメラが起動し、選択したサイズの実物大のオブジェクト(立方体)がARで表示されます。オブジェクトは移動や回転もできるため、収納場所に置けるか簡単に試せます。
3辺の指定は必要なく、「高さ」のみでの表示なども可能。また、かなりの大きさでも表示できるようになっており、東京タワーの高さでも出せます。買い物以外にもいろいろな使い道があるかもしれません。
さらに、速度の表示にも対応。ナマケモノの秒速3センチからマッハまで、さまざまな速さをAR内で見られます。
現在はAndroid版のみで、インストールにはARCoreに対応した機種である必要があります。最新の機種であっても、ARCore未対応の場合はインストールできません。また、起動直後はオブジェクトが浮いていますが、スマホを少し前後左右に動かして床を認識するとモデルが地面に着地します。
一体どのようなアイデアから生まれたアプリなのか、作者の河本健さんに話を聞いてみました。
―― ツール開発のきっかけを教えてください。
河本健:友人と大型の装置の話をしていて、友人が手で「大きさこれぐらい?」と手を広げてサイズ感を表そうとしていた時に思いつきました。世の中にはARの物差しアプリみたいなのがありますが、ブラウザなどで見ている文字情報を簡単に可視化するアプリがあれば便利なのではないかと思い作りました。
―― 開発で最も苦労した点はどこでしょうか。
河本健:一番頑張ったのは「ブラウザのテキストから最短でARに行くためのUX」と、そのための「テキストの理解」です。
「これどれぐらいだろう?」と思った時にすぐに可視化できるように、数字を入れ直したり大きさを調整したりといったステップを0にする必要があります。そのために、自由なテキストから正確に汎用的に「高さ」「幅」「長さ」「速さ」を抽出する文字抽出機能に一番長い時間をかけました。たくさんのECサイトの記法を見て、なるべく多くのパターンを理解できるように労力をかけました。逆に、一番目立つAR部分はARCoreが優秀なため非常に簡単に作れました。
―― ユーザーからの希望を反映した機能にはどんなものがありますか。
河本健:上記文字抽出機能はたくさんのユーザー様から「こんな文字列が理解してもらえなかった」というフィードバックを受けて、何度も改善しました。またモデルを移動/回転させる機能は元から入れるつもりなかったのですが、あまりに希望が多かったので作りました。
―― 今後も追加予定の機能などはありますか。
河本健:あらゆる「これってどれぐらいだろう?」に応えていければ面白いかと思ってます。例えば「5万人が来場って実際どれぐらいの人だろう」とか、「100ccってどれぐらい?」とか。「中肉中背ってどんな感じ?」とか。
河本健さんは2018年の12月24日にもWi-Fiの電波強度や、お湯を沸かしている時の空気の汚れをARで可視化するアプリを作成し話題になっていました。
画像提供:河本健さん
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