怖さと友情が胸に刺さるホラー漫画『震えてる??』に反響 「温かくて泣けるホラー」「引き込まれる」(1/2 ページ)
登場する2人のどちらにもグッと感情移入してしまう……。
24時間営業のゲーム・DVD・漫画等の買取屋さん。そこに新人従業員として入ってきたゲームオタクな星川さんと、あまり他人と関わろうとしない無愛想な羽田さん、2人の友情と引き込まれる雰囲気が魅力のホラー漫画『震えてる??』が、「味わい深い」「温かくて泣けるホラー」と人気を呼んでいます。
昼夜逆転で夜に出勤し、仕事場では髪をオールバックにして淡々と働く羽田さん。職場では「いろんな人」の中の1人として、皆と一定の距離を置き、また置かれている彼ですが、新しくやってきた星川さんはそんな羽田さんが気になる様子。そしてついには、「僕、ゲームオタクで家にたくさんゲーム機あるんですけど、よかったら一緒にしませんか?」と緊張で身体を震わせながら遊びに誘います。
それから2人は夕方過ぎに待ち合わせ、一緒にゲームをするため星川さんの家に行くのですが、その部屋のドアの前で「招いてもらわないと入れないんです」と羽田さんが言うシーンがあります。ここで星川さんは疑問に思うだけで気付きませんが、これは“吸血鬼”の特徴の一つとして知られています。ということは夜勤をしている理由も……。
招かれた羽田さんは意外にもゲームがうまく、時間を忘れるほど楽しく過ごします。「断られると思っていたので今この状況が信じられません」と感謝する星川さんに、「誘ってくれてありがとうございます」と初めてうれしそうな笑顔を見せる羽田さん。また同時に、ゲームがうまい理由や独特なオーラを持つ羽田さんの“ヒトとは違う”つらい過去も見えてきて、楽しそうに笑い合う2人の関係に胸が温かくなります。
しかしその帰り道、羽田さんを送る星川さんが酔っ払いに絡まれ、さらに殴られて顔から鼻血が出たのをきっかけに、羽田さんの秘めていた本能が反応。お金を要求する酔っ払いの喉元をかっ切るように噛みついて殺した彼の顔は恐ろしく、星川さんも恐怖で涙を流します。そしてそんな星川さんの目を見つめ、自身の持つ魔の力で彼の記憶を消す羽田さんが最後にひと言漏らしたのは「もう一度遊びたかった」の言葉でした。
物語のラストでは、遊んだことも含めてその日の出来事を全部忘れた星川さんと、遊んだことをなかったことにした羽田さんの姿が。笑顔を見せずひとりで淡々と働く羽田さん。これが彼にとっての日常ですが、そこに「ゲーム好きですか?」と聞く人が現れます。その結果どうなったのかは最後のページを見てほしいとしか言えませんが、身体を震わしながら“再び”声を掛ける彼の姿は心にくるものがあります。読み終わって気付いたら再読してた……。
作者は、無料漫画サイト「COMIC MeDu」で『僕だけに優しい君に』を連載中の浦部はいむ(@urabehaimu)さん。Twitterで全21ページで公開された『震えてる??』には多くのいいねなどが集まり、その独特なタッチの絵柄や世界観に「めっちゃ好き」「面白い」と称賛の声が寄せられ話題に。他にも物語を考察したり、キャラクターの想いを想像する声が上がるなど反響を呼んでいます。
浦部さんはさまざまな創作漫画を公開しており、いずれもホラーな雰囲気がありながら人の温かみを感じられる作品で人気を集めています。『僕だけに優しい君に』も同様にダークで悲しくもじんとくる物語となっています。無料(※執筆時点で第7話まで公開)で気軽に読めるので気になった人はチェックしてみるといいでしょう。
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