先日、裁判所の令状なしに捜査機関への個人情報提供を行っていたことなどから物議を醸した「Tカード」。法的には問題ないのではないか、という指摘もあります(関連記事)が、利用者などからは不安の声が上がっています。
「Tカードの個人情報問題」のネガポジ
Twitter上の反応をSocial Insightで調べてみると、ネガティブなものが95.8%と大多数を占めました。
ネット上の意見
実際のツイートを見てみると、やはり「利用者の分からないところで、個人情報が提供される」ことへの不信感が強いもよう。その一方で、「どうせ見られても困らない」「便利だから利用する」といった声も見られます。
そもそもポイントシステムの起源は?
このように、否定的な意見が続出していることは、「ポイントカードというシステムが広く浸透していること」の裏返しでもあります。そもそも、ポイントカードとは、いつから始まったものなのでしょうか。
ポイントサービスが初めて登場したのは米国。1850年ごろ、手違いで石けんを大量に仕入れてしまった小売店が、集めると絵画と交換できるクーポンを、包装紙に貼り付ける取り組みを始めたそうです。
その後、商品と交換するスタンプサービスが誕生し、1896年には、スタンプ・サービスをシステム化・商品化し、複数の小売業者に販売するというスタンプ専業会社が出現するに至りました。1910年代初めにはガソリンスタンド、1920年代にはスーパーマーケットを中心に導入が広がっていきます。
(進化するポイントカードとその将来性/ニッセイ基礎研究所)
日本のポイントの起源は?
では、日本におけるポイントサービスの始まりは、どのようなものだったのか。「1916年に北九州市にある久我呉服店が始めた」とする説はあるものの、はっきりしたことは分かっていないようです。
一方、現代ではおなじみの「コンピュータで管理されたポイントカード」の起源は明確になっています。
1980年代に入るとコンピューターで管理できるポイントカードが誕生。1989年には大手家電量販店のヨドバシカメラが、値引き作業の負担を軽減するため、日本で初めてバーコードを用いたポイントカードを導入しています。
(ポイントサービスっていつ頃始まったの?/JIPC)
矢野経済研究所の調査によると、国内ポイントサービス市場規模は2017年度時点で、1兆7974億円(ポイント発行額ベース)。1つの店舗で複数のポイントサービスに対応する「マルチポイント化」の広まりなどにより、発行額は今後も増加していくと見ています。
なお、その他の大手ポイントカード「Suica(JR東日本)」「dポイントカード(NTTドコモ)」「Ponta(ロイヤリティ マーケティング)」「楽天ポイント(楽天)」の4社も、「法令に基づく場合」は個人情報を第三者に提供する可能性があることを利用規約等に明記しています(※)。
今回の騒動ではTカードが大きく取り上げられましたが、本当に考えなければならないのは「日々の暮らしと切り離せないほど深く浸透している、ポイントカード一般との向き合い方」なのかもしれません。
※CCCも今回の騒動を受け、「法令で認められる場合」は「必要な範囲」を超えない形で情報提供を行う可能性があると個人情報保護方針を改訂しています。
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