誰にでもいつかは訪れるのが“死”。病気であったり事故であったり、人によって最期の迎え方はさまざまです。中には何かを思い遺したまま死を迎える人もいるでしょう。幽霊が見える葬儀屋さんが、後悔を引きずったまま離れ離れになってしまった姉妹を笑顔へ導く漫画「ようこそ亡霊葬儀屋さん」が感動を呼んでいます。
事故死した女優の葬儀を受けることになった、幽霊が見える葬儀屋さん。女優の妹が自分でエンゼルメイク(亡くなった人の顔を整える処置)をしたいと申し出てきました。事故死した姉の変わり果てた顔をまだ見ていない彼女に「今のお姉さんと向き合う覚悟はありますか?」と問う葬儀屋さん。実は死んだ姉から「妹にエンゼルメイクをさせるな」という依頼を受けていました。姉は今のひどい顔を妹にだけは見られたくなかったのです。そして姉にはまだ何か心残りがある様子。
妹を事故現場に連れていき、ここに姉がいると告げる葬儀屋さん。姉の死を引き起こしたのは自分であり、最後まで迷惑をかけたと後悔を語る妹を見て、葬儀屋さんはその場で姉に本音を尋ねます。彼から姉の気持ちを伝えられた妹は、あらためてエンゼルメイクをする決意をしたのでした。
姉のメイク担当をするのが夢だった妹ですが、姉からは「私を満足させるメイクができるようになったら考えてもいい」と言われたきり。姉の最後の舞台とも言える葬儀に見事なメイクを施した妹は、葬儀屋さんに渡された化粧筆を返そうとしますが、実はその筆が姉からの誕生日プレゼントだったこと、事故の中でも奇跡的に無傷だったことを伝えられます。姉が葬儀屋さんに隠していた本当の心残りである「妹へ誕生日プレゼントを渡すこと」が果たされて、姉は初めて葬儀屋さんに笑顔を見せるのでした。
この作品には、多くの読者から「尊すぎて(涙が)滝のように流れてしまう」「涙が止まりませんでした」「死者の話なのに何故か前を向ける気がする」などの感動したという感想が寄せられています。お互いを思い合う姉妹と、遺された人だけではなく亡くなった人が思い残したことを解消してくれた葬儀屋さん。死や後悔という重いテーマながらも、ラストは幸せに満ちていました。
漫画の作者はTwitterで創作漫画やイラストを投稿している吉良いと(@kilightit)さん。「ようこそ亡霊葬儀屋さん」は、以前にジャンプ+に掲載されたもので「2018年12月期ブロンズルーキー賞」を受賞しています。
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