個人アプリ開発者のBloom Mushroomさん(@bloom_mushroom)が2月11日に公開したスマートフォン用アプリ、「テトラ ワールドアドベンチャー」(iOS/Android)のアプリ内広告が今までにない手法で好評を集めています。ゲーム開始時に一定の回数動画広告を再生することで、以降バナー広告が表示されなくなるというもの。この画期的な手法はどのように生まれたのか、話を聞きました。
「テトラ ワールドアドベンチャー」は、いわゆる“脱出ゲーム”的な操作で進んでいくアドベンチャーゲーム。4つの扉の先に広がる世界を旅する、ファンタジーな世界が魅力です。
普通にプレイすると画面下部にバナー広告が表示されますが、タイトル画面下部に表示される「Ad block」ボタンを押すと動画広告を流す画面が表示されます。7回動画を流すことで3ステージまでバナー広告が表示されないようになり、もう7回再生で全ての広告が削除。さらに10回動画を視聴すると設定資料とボツ絵が見られるようになる仕組みです。
この手法はユーザーの間で「画期的」と話題になり、「ゲーム中に挟まれるのと違ってストレスが全然ない」「これなら動画を見ようという気になる」と満足度の面でも極めて好評です。
今までになかったこの仕組みは一体どのように生まれたのか、収支の面ではどうなのか。作者のBloom Mushroomさんに話を聞いてみました。
―― 導入のきっかけを教えてください。
Bloom Mushroom:過去作品でレビューに広告を消せるようにしてほしいという要望があり、今回は初めて課金で広告を消せるようにしようとしたことがきっかけです。しかし、Android端末でアプリ内課金を導入する場合はストアに住所を載せる必要があり、田舎の一軒家で開発しているためすぐに特定できてしまいそうでした。
どうにかしてストアに住所を載せないように広告を消せないかと考え行き着いたのが、今回の仕様でした。
―― 導入に当たり苦労した点はありましたか。
Bloom Mushroom:Unityというゲームエンジンで作成して課金システムもUnityの機能を使用したのですが、iOSとAndroidで課金システムを別にする方法がなかなか分からず時間がかかってしまいました。また、iOSには課金を入れているのですが、ちゃんと動いているのか何度もテストをしていました。
私は周りにプログラムが分かる知人が一人もおらず、ネット検索頼みというものあり、自分の能力のなさを実感させられながらの制作でした。以前にもどうしても分からないところをTwitterでフォローしてくださっているアプリ開発者に助けていただいたこともあり、開発者としての人脈の大切さも実感しています。
―― 動画を再生した人の割合や収益の面はいかがでしょうか。
Bloom Mushroom:バグ報告に対処するので精いっぱいで、現在どれぐらいの人が動画を再生して広告を削除したかについては、まだ確認できておりません。
収益の面では1再生あたり0.5円と思っていたよりも単価が低く残念な部分もありますが、ダウンロード数に比べると再生された回数はとても多く感じているので、利用してくださっている方も多いのではと感じています。ただ、広告を出したままにしておいた方が、おそらく収益が高いことが分かってしまいました……。
今回の「テトラ」だけでなく、これまでのアプリは雰囲気をとても重視しておりました。そのため、できれば有料にして広告を出さずに済ませたいですし、他の個人開発者の方も同じ気持ちの人が多いと思います。しかし、アプリを買ってまではちょっと……という方も当然おり、その気持ちもよく分かります。
そのため、プレイしてくださる方も開発者も満足できるwin-winな方法を、これからも模索していきたいと思っています。次回作も同じ方法になるかは分かりませんが、広告消しは必ず入れたいと思います。
―― プレイヤーからの評判はいかがですか。
Bloom Mushroom:プレイヤーの方々からの評判はとても良いように感じます。それもあって、この方法を入れて結果的にはよかったと思いました。動画広告視聴で、広告消しだけでなく没にした絵や線画の資料を見れるようにもしていましたが、そちらも見ましたと言ってくださる方も多くてうれしかったですし、とても励みになります。
iOSは課金と複数回の動画広告視聴のどちらかを選んで消せるようになっていますが、わざわざ課金してくださった方もおられたので本当に感謝の気持ちです。将来もっと収入が得られるようになって事務所も借りれるようになったら、Android版でも課金と広告視聴を選べるようにしたいと思っており、その日を夢見て頑張りたいと思います。
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