両国国技館で2月11日に開催された「第九回白鵬杯 −世界少年相撲大会−」で、1分にも及ぶ大相撲が観客を沸かせました。小柄な小学4年生の元村康誠くんが、自分の2倍はあろうかという大きな子と激突。卓越した体幹で粘りに粘り、圧倒的な体格差をはねのけて勝利したのです。
立ち会いで大きく押し込まれながら、すぐに相手のふところへ潜り込む康誠くん。土俵際へ押されようとも、すぐに体を入れ替えて抜け出し、逆に足をかけて反撃に転じます。大きな相手をブンブン振り回していく……すごいっ!
しかし相手もさるもの、グッとこらえて投げで反撃。驚異の粘りを見せてきた康誠くんも、とうとう押しつぶされてしまう……? そう思わせた瞬間、華麗な技が一閃。康誠くんは相手にしがみついてギリギリで耐え、そのままブリッジを利かせた投げで勝利を収めました。「手に汗握る一番」とは、こういうことを言うのだなあ。
康誠くんは、普段は佐賀県の北方相撲クラブに所属。同クラブ出身の2人と共に、「雲龍顕彰記念少年相撲大会」の優勝者で結成された選抜チーム「チーム琴奨菊」の一員として世界少年相撲大会に出場しました。チームとしては5勝1敗(優勝チームにのみ敗戦)、個人戦では第5ブロック決勝戦敗退の好成績を収め、技能賞も受賞しています。
ねとらぼ編集部の取材に、康誠くんは「絶対に負けないぞという気持ちでがんばれた」とコメント。あの取組を終えた瞬間は、自分が勝った実感がなかったといいます。大会では世界中の子と対戦できたうえ、多くの関取を間近で見られてうれしかったそうです。
ネットでは、取組を姉の友紀さんがTwitterで紹介したことで話題となり、「最初はびっくりしたけど、たくさんの人に見てもらえてうれしかった」と康誠くん。友紀さんにも話を聞いたところ、「弟は普段から大きい子とたくさん練習していて、大会でも緊張せずいつも通りに臨めていたから、勝利を確信していた」とのことでした。
友紀さんいわく、普段の康誠くんは相撲を取っているときとはまるで違う優しい子で、学校ではクラスのムードメーカー。友紀さんの1歳の息子と遊ぶのが大好きで、よく「連れてきて」と頼まれるそうです。
そんな康誠くんを教えているのが、北方相撲クラブの松尾清史監督。息子が幕下力士の琴隆成と、恐ろしく説得力のある指導者です。また、康誠くんの父は松尾監督の中学時代の先輩でもあるそうです。「康誠くんのお父さんも、同様に小柄ながら優れた体幹で相撲が強かった」と、血筋を感じさせるエピソードを編集部に語りました。
康誠くんの取組について聞くと、「体格差がある場合、負けるときはすぐに負けてしまうが、ふところに入りさえすればまず負けない」とのこと。チームには大柄で強い子がもう1人いて、大会ではたいてい、彼か康誠くんのどちらかが優勝しているのだそうです。ならばその2人がぶつかったら……と頂上決戦に期待がかかるところですが、なかなかカードが実現しないのだとか。
周囲の大人から真剣に見守られながら成長し、すばらしい一番を見せてくれた康誠くん。「技で魅せる小兵力士」の勇姿を存分に魅せてくれました。
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