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レンタルのCDやDVDは、どんな値段で、どうやって仕入れているのか?

DVDとかは特に内容が違うよね。

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 みなさんは普段、CDやDVDのレンタルサービスを利用していますか? 最近はネット配信が便利になってきていますが、配信が解禁されていないものも多く、レンタルはまだまだ便利ですよね。

 レンタル店の料金の安さを考えると、さぞかしCDやDVDを安く大量に仕入れているのだろう、と考える方もいるかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。では、レンタル店はどうやって仕入れているのでしょうか。


CDショップで売っているものとは別物

 レンタル店で貸し出されているCDやDVDはレンタル専用のもので、一般に販売されているCDやDVDとは別物です。

 CDやDVDは、作詞・作曲者やレコード会社、脚本家や映画会社などが、著作権・著作隣接権を持っています。そのため、普通に購入したCDやDVDは、「私的利用のための複製」(※)「学校教育での利用」「正当な引用」などの限られた範囲でしか利用できません。

※私的利用の範囲内であっても、コピーガードを回避しての複製は違法となります



自分や家族で利用するほかに、適正な手続きを踏んで「引用」すれば、他人の著作物の一部を自分の文章などに用いることができます

 そして、レンタル店などによる不特定多数への貸し出しはこの「限られた範囲」には含まれません。つまり、買ってきたCDやDVDを許可なく他人に貸し出すと、「貸与権」などの権利の侵害となります。


レンタル店で扱っているのは「レンタル専用ソフト」

 そこで出てくるのが「レンタル専用」のCDやDVDです。みなさんも、こうしたシールが貼ってあるのを見たことがあると思います。



 では、レンタル専用ソフトはどのように出回っているのでしょうか。

 流通方法のひとつとして、CDなら「日本レコード協会」、DVDなら「日本映像ソフト協会」などの団体が、レンタルのためのシステムを整えています。レンタル店はこれに従って、本来はレコード会社や映画会社などが持つ「貸与権」をおすそ分けしてもらう形で、レンタル専用のソフトを買い取っています。

 ほかに、レンタル店は買って仕入れるだけでなく、メーカーやリース会社からソフトを「借りている」こともあります。これは、安く借りておいて、契約期間がすぎたら返却するとともに、レンタル実績に応じた使用料を支払う形式が多くなっています。

 レンタルのCD・DVDのパッケージには、バーコードとともに「初回」とか「終了」の日付が書かれたラベルがよく貼られていますが、これらはレンタル店が他から借りていることに関連した情報を示しています。


レンタル専用ソフトの仕入れ値は買うものより高い

 レンタル店が仕入れている「レンタル専用」のソフトは、セル用のソフトと違って「不特定多数に貸与して料金を得ること」が可能ですから、仕入れ値にもこれが加味されます。具体的な相場はものによりますが、私たちがセル用のソフトを買うときよりもかなり高くなるとされています。

 また、他からソフトを借りている場合であっても、レンタルで貸し出した実績に応じて使用料は変動します。貸し出し実績が多ければ、その分高い使用料を支払うことも考えられます。

 レンタル店で借りたCDを延滞・紛失・破損などしたことがあるという方は、とても高額な料金を支払ったのではないでしょうか。これは、実は仕入れ値が高かったり、ほかの会社に返却しなければならなかったりすることによります。店側は、延滞や紛失で被った損失を、カバーしなくてはならないのです。


おわりに

 近年は、レンタルCD・DVDの店舗数は減少傾向にあるようです。紹介した仕入れ値が高いという裏側に加え、定額配信なども台頭してきているので、そういう時代なのかもしれません。

 それでも、「ジャケ買い」という言葉もあるように、実物の商品にはさまざまな工夫が施されています。たまにはじっくり歌詞カードを眺める聴き方もいいですね。借りたときは丁寧に扱って、期限をちゃんと守りましょう。

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