新元号「令和(れいわ)」が発表されたことを受け、安倍晋三首相は4月1日正午より記者会見を開き、新元号の典拠や決定の意図などに関する談話を発表しました。
安倍首相によると、新元号「令和」の典拠は、日本最古の歌集「万葉集」から。「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」から引用したもので、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味を込めたといいます。また日本の歴史上、国書を典拠とする元号は初となります。
「令和」に決定した意図としては、日本の文化や自然といった国がらを次の時代へと引き継いでいくとともに、厳しい寒さの後に咲く梅の花のように、明日への希望とともにそれぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいという願いを込めたとのこと。併せて、新しい元号が広く国民に受け入れられ、生活の中に深く根ざしていくことを願うとし、談話を締めくくりました。
以下、安倍晋三首相による談話全文
本日、元号を改める政令を閣議決定いたしました。
新しい元号は「令和」であります。
これは万葉集にある「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」との文言から引用したものであります。
そしてこの令和には、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味が込められております。
万葉集は1200年あまり前に編纂(へんさん)された日本最古の歌集であるとともに、天皇や皇族貴族だけでなく、防人や農民まで幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められ、我が国の豊かな国民文化、長い伝統を象徴する国書であります。
悠久の歴史と香り高き文化、四季折々の美しい自然、こうした日本の国がらをしっかりと次の時代へと引き継いでいく、厳しい寒さのあとに春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりの日本人が明日への希望とともにそれぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いを込め、令和に決定いたしました。
文化を育み、自然の美しさを愛でることができる平和な日々に、心からの感謝の念を懐きながら、希望に満ちあふれた新しい時代を国民のみなさまとともに切り開いていく、新元号の決定にあたり、その決意を新たにしております。
5月1日に皇太子殿下がご即位され、その日以降この新しい元号が用いられることになりますが、国民各位のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。政府としてもほぼ200年ぶりとなる歴史的な皇位の継承がつつがなく行われ、国民こぞって言祝(ことほ)ぐことができるよう、その準備に万全を期して参ります。
元号は皇室の長い伝統と、国家の安泰と、国民の幸福への深い願いととともに、1400年近くにわたる我が国の歴史をつむいできました。日本人の心情に溶け込み、日本国民の精神的な一体感を支えるものとなっています。この新しい元号も広く国民に受け入れられ、生活の中に深く根ざしていくことを心から願っています。
私からは以上です。
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