桜が満開となる4月。家族と別れ、新たなる旅立ちを迎える人たちを祝福する春がやってきました。いよいよ社会人となり、独り立ちしていく子どもへの思いをお母さん目線で描いた漫画「君の春」が、感動を呼んでいます。作者はにしむらあお(@nishimura_ao)さん。
社会人となり、実家を出て1人暮らしすることが決まった息子さん。そんな息子さんとの別れの日が決まり、お母さんはこれまでの日々を息子さんと過ごした情景とともに振り返っていきます。当たり前だった息子さんと暮らす生活も、もうすぐ終わりを迎えます。
若いころは、実は子どもがあまり好きではないと思っていたというお母さん。これは女性でもよく聞く声ですね。しかし、自分がいざ子どもを産むと、そう思っていた気持ちはどこかへ吹っ飛んでしまいます。「君は生まれてすぐにそれをひっくり返して 人生で一番大事な人になった」というセリフに、うなずいてしまう人も多いのではないでしょうか。
親として、子どもを守るだけではうまくいかないのが子育てというもの。親が先回りしてやりたい気持ちをぐっとこらえ、失敗やくやしさを感じさせてあげたいと、ハラハラしながら見守るのも、子育てです。正解がない子育ては、うまくいかないことばかり。でも子どもへの愛が変わることはありません。
まだ赤ちゃんだったころ、息子さんをお腹の上にのせて、お昼寝をしたことを思い出すお母さん。赤ちゃんはお母さんのお腹の上だと安心するのか、こてんと寝入ってくれるもの。ぴったり寄り添う赤ちゃんの体温と重さが心地よくて、ついお母さんも一緒に熟睡してしまうんですよね。幸せを感じる何気ない日常を、「この瞬間をちゃんと憶えておこうと思った」と心に刻みつけた、あの日のお母さん。それもまた、“よく晴れた春の午後”でした。
あんなに小さかった息子さんも、今ではすっかり優しい好青年に。社会人となり一人暮らしすることが決まってからは、「さびしくて さびしくて毎日お風呂でこっそり泣いたよ」というお母さん。でもいよいよお別れをする日には涙を見せず、笑ってさよならを伝えます。子どもに悲しい顔や涙を見せないようにする、それもまた親の愛。
息子さんがいなくなった後の子ども部屋を眺めていたお母さんのもとに、カーテン越しに春の空気がやわらかく流れ込んできます。そう、お腹にのせて一緒にお昼寝をしたあの日と同じように。これまでの息子さんとの日々が心の中をかけめぐり、息子さんの部屋で立ちつくしてしまいます。
学生時代、「行ってらっしゃい」と毎朝玄関で見送ったこと。熱が出てしまった息子さんを車に乗せて、病院へと急いだこと。そして、この世に生まれてきてくれた誕生日。これまでの息子さんとの日々を思い返しながら、あふれる寂しい気持ちを抑えることができません。
それでも、最愛の息子さんの門出を「これからの人生を どうか しあわせに」「春はもう 君のものです」という言葉で祝福し、息子さんの背中を送りだすお母さんです。満開の桜に囲まれた息子さんの背中は大きく、これからの人生を自分の足で歩いていくたくましさが見えます。こちらを振り返る様子を見せないところは切ないけれど、その全てを見守るのが親の愛なんだ、と教えてくれる最後のコマとなっています。
投稿には、「最後のコマが涙でかすんでみえません」「送りだしてくれた親の笑顔の裏に、こんな気持ちがあったなんて……。感謝の気持ちを伝えたくなりました、ありがとう」「子どもが独り立ちした時の気持ちを思い出して、目頭があつくなった」などの感動のコメントが寄せられています。
画像提供:にしむらあお(@nishimura_ao)さん
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