兵庫県の「竹田城跡」や和歌山県の「友ヶ島」など、関西には名作アニメ映画「天空の城ラピュタ」のような現実離れした古代遺跡の雰囲気を感じさせるような史跡が複数存在しています。
前述した2つのスポットはテレビをはじめメディアで頻繁に取り上げられ、毎年多くの観光客が訪れるようになっていますが、実はもう1カ所、関西に隠された「ラピュタ感」のある場所が奈良県高取市郡高取山に存在するのです。今回は、そんな奈良のラピュタこと「高取城跡」の魅力を体験してきました。
高取城跡の最寄り駅となるのは、近鉄吉野線「壺阪山駅」。1時間に停車する列車は3本前後とやや少なめで、そのうち何本かは有料特急となっているため、具体的なスケジュールを立てておかないと行き帰りで長い間待たされることがあります。
高取城跡へは、休憩も含めればここから徒歩で約2時間ほどかかります。道中ロープウェイのような便利なものはなく、自動車と徒歩以外の交通手段はありません。
昨今の関西における整備の行き届いた観光名所と比較した場合、確かに不便と感じられるかもしれません。しかし、この不便さこそが逆に高取城跡を「秘境」たらしめているのではないかと思います。
中盤からは高取山の登山道へ。この山の標高は584メートルとそれほど高くはないのですが、やや坂道が多く、少なからず体力を要します。特に夏場であれば、補給用水分の携帯は必須です。
高取城跡と並ぶこの山のシンボル的存在が「猿石」です。どこからどう見ても猿の顔にしか見えないこの石は、本来飛鳥(現:明日香村)の墳墓などに置かれていたものが、築城の際石垣の材料としてここまで運ばれてきたといわれています。この石と出会えたのであれば、目的の城跡はもうすぐ!
二の門跡、大手門跡などを経て本丸跡周辺へ到着。ラピュタ感を本格的に味わえるのはここからです。
高取城は1332年(元弘二年)に南朝方の武将によって築かれた山城で、奈良の豪族である越智氏の拠点であったころは簡単なつくりのかき揚げ城でしたが、安土桃山時代に羽柴(後の豊臣)秀長の配下であった本多俊政によって土塀や石垣、天守閣が築かれるなどの大改修が施されました。
その際安土桃山期の築城技術がふんだんに用いられたため、それまでの山城と中央で主流であった平城のよいところを併せ持ったハイブリッドな特徴を有していたとされています。山城の中では比高(ふもとから頂上までの高さ)が大きい場所に建てられたという理由から、松山城(岡山県)や岩村城(岐阜県)にならぶ「日本三大山城」の1つとして歴史好きからは知られているようです。
苔に覆われた石垣を見上げると、木々の日陰のコントラストも相まってなんとも神秘的。ロボット兵こそいませんが、石造建築と自然が調和した姿は、数世紀にわたり天空を漂ったラピュタをほうふつとさせます。
高取城自体は1873年(明治六年)に廃城となりその主要な建築物は撤去されましたが、現在でも石垣などの遺構はそのまま遺され、非常に重要な歴史建造物として保存されています。
高取城跡を訪れた後は、徒歩30〜40分ほど離れた場所にある高取城の巨神兵……ならぬ、「五百羅漢」もぜひご覧ください。これらは岸壁に彫られたいわゆる「摩崖仏」であり、この山が宗教的な意味合いでも重要であったということが伺える史跡です。
そのほか、高取城周辺には歴史を感じさせるさまざまな史跡が存在しています。一日がっつり使って史跡めぐりをしてみるのもよいでしょう。
(エンジン)
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「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「紅の豚」「耳をすませば」「千と千尋の神隠し」の6作品。
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