「アゲリシャス〜!」でおなじみのゼスプリCMはなぜ面白い? キウイブラザーズ誕生秘話をプランナーに聞いた
売り場に置いてあるキウイブラザーズのぬいぐるみ欲しい(切実)。
「キウイフルーツで〜アゲリシャス〜アゲリシャス〜アゲアゲリシャス〜!」――最近テレビでよく見かけるゼスプリ キウイのCM。「恋のマイアヒ」の替え歌をバックに踊り狂うキウイブラザーズはいかにして誕生したのか、CMプランナーを取材しました。
キウイブラザーズとは
2016年に初登場したキウイブラザーズはさわやかな甘さで知られるグリーンキウイをモチーフにした「グリーン」と、トロピカルな甘さで黄色がかった果肉が特徴のサンゴールドをモチーフにした「ゴールド」からなる兄弟。ニュージーランドの農場ですくすくと育った後、日本のスーパーマーケットへとやってきました。
公式サイトによると、キウイブラザーズの緑色の方「グリーン」は、「まじめで正義感が強く、しっかり者」な性格。趣味は「お総菜コーナーまでの散歩」で、チャームポイントは「ワイルドな柔毛」。座右の銘は「蒔かぬ種は生えぬ」とのこと。
対して黄色い果肉の「ゴールド」は「陽気でのんきな甘えん坊」な性格。趣味は「タイムセールの見学」で、チャームポイントは「つぶらな瞳」。座右の銘は「果報は寝て待て」と、それぞれ性格に差があるようです。
2016年に公開された第1弾のCMでは「キウイはビタミン〜だけ〜じゃな〜い」とクセになる歌声を披露したブラザーズですが、第2弾では他のフルーツから見た目を「パッと見、じゃがいもみたい」とバッサリいかれて「じゃ、じゃがいも!?」とショックを受ける自虐系CMにシフト。
2016年公開CM
2017年には選ばれしキウイにのみ授与されるというゼスプリのシールをいろいろな言い方でアピールしまくった他、2018年には完熟のキウイがどれだけおいしいかをアピールしたいあまり、キウイブラザーズが合体ロボットになってしまう「完熟キウイ」編などが公開となり、それぞれ好評を博してきました。
2017年公開CM
2018年公開CM
それにしても気になるのは、キウイブラザーズ誕生の経緯。ねとらぼ編集部では、CMをプランニングしたクリエイティブ・ディレクターの北田有一さんを取材しました。
明かされたキウイブラザーズの秘密
――キウイブラザーズ誕生の経緯を教えてください。
北田:定番の果物であるゼスプリのキウイフルーツは、毎年、革命的な新商品が出るわけではありません。長期的な視点でゼスプリキウイのイメージを醸成しようと考えたときに、ニュージーランドのキウイ農家さんが長期的な視点でキウイを育てるように、「長期的にみなさんから愛されるキャラクターを作るべき」と考えて誕生しました。
世の中には既にさまざまなキャラクターがいますが、われわれが当初から意識していることは、瞬間風速的にブームが起きて愛されるのではなくて、長期間をかけて愛されるキャラクターを作ること。そのためには、キャラクターとしての基礎(世界観や設定、デザインのルールなど)をしっかりと作り上げた上で、少しずつ新しいことにチャレンジしていくことが大切だと考えています。
――キウイブラザーズは世界で活躍しているのでしょうか。日本限定のキャラクターですか。
北田:2016年に日本で生まれ、最初の2年は日本だけで展開していましたが、デビューが成功し、調査でも人気があることが分かったため、2018年にはオランダのゼスプリ、2019年からは韓国など複数国のゼスプリが使用しています。
――2016年から「じゃがいも」と自虐ネタを盛り込んだり、戦隊ロボット風の合体をしてみたりとユニークなCMが続いていますが、プランナーは継続して同じ方でしょうか。
北田:誕生当初から同じクリエイティブ・チームで担当しています。アートディレクターは関戸貴美子、コピーライターは木下舞耶、ディレクターは久間敬一郎さんです。
――キウイCMにおける“これだけは譲れないルール”のようなものはありますか。
北田:キウイブラザーズはフルーツですので、青すぎず、熟し過ぎず、フレッシュな若者たちのやりとり、という設定を大切にしています。
――実はあまり知られていないキウイブラザーズの設定があれば教えてください。
北田:グリーンは王道の味なので、目の中のキラキラが1つ。ゴールドは甘みが強く親しみやすいため、目の中のキラキラが2つです。
――キウイブラザーズの声を担当しているのはどなたでしょうか。
北田:キウイブラザーズの声は、向かって左にいる、緑の果肉のキャラは、「グリーン」が担当。向かって右にいる、黄色の果肉のキャラは、「ゴールド」が担当しております。
アゲリシャスCMの反響
――新CM「アゲリシャス」では懐かしの名曲「恋のマイアヒ」の替え歌が展開されています。今回 「恋のマイアヒ」 をCMソングに起用した決め手を教えてください。
北田:定番のフルーツであるがゆえ、多くの方から、キウイの味は「当たり前で平凡なもの」という印象を持たれてしまっていることに気付きました。
しかし本来、ゼスプリでは、安定しておいしいキウイを届けるために、品質管理において数えきれないほどの進化や企業努力を重ねており、実際に年々キウイがおいしくなっていることに気づいてくださるお客さまもいらっしゃいました。
そこで、あらためて、より多くの方に、キウイのおいしさを再発見してもらうために、キウイを食べた後の感情を、他の食べ物とは違う「新しい言葉」で定義してみよう、ということから、プロジェクトは始まりました。まず、200案以上の言葉の中から、キウイを食べた時の「高揚感とおいしさ」が最もよく伝わる「アゲリシャス」をフレーズとして選定。次に、その気分が最もよく伝わる曲は何かと考え、「恋のマイアヒ」の気分がアガる感じとハッピーな雰囲気がぴったりだということで、替え歌にさせていただきました。
――「アゲリシャス」CMの反響はいかがですか。
北田:予想を超える大反響をいただいておりまして、大変感謝しております。5月30日より参加型のキャンペーン(6月25日締め切り)を行っておりますが、最初の2週間で既に5万人を超える応募がありました。
他にも、今回のように「ねとらぼ」さんに取材していただけたり、有名芸能人の方がテレビ番組の中で歌ってくださったり、アーティストがツイートしてくださったり、YouTuberがアゲリシャスのゲームを作ったり、小学校の運動会や自分の結婚式で流したいという問い合わせもいただいたり、自然派生的にたくさんの方に広がっていると実感しております。また、最もうれしいのは、たくさんの方がミュージックビデオをご覧になり、「アゲリシャス」や「サゲリシャス」といった言葉を、日常の中で自然に使って頂けるようになっていることです。
――日常的に、といえば私もキウイブラザーズのLINEスタンプを使わせていただいています。最後においしいキウイの見分け方や食べごろの見分け方、今後の展望などを教えてください。
北田:キウイを手で包み込むように持って、やさしくニギニギとしてみてください。ほどよい弾力を感じれば、食べごろです。
世界的な対立や暗いニュースが多い2019年のニュースですが、2019年の流行語の1つとして「アゲリシャス」なゼスプリのキウイを思い出していただき、少しでも皆さまを明るい気持ちや楽しい気分にできたらと思います。
歴代CM集
(Kikka)
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