人気フィギュアの予約受付を巡り、ヨドバシカメラ京都店が取った転売対策が注目を集めています。実際に同店が取った対応に対して称賛する声が多く寄せられている一方、SNS上では不正確な情報も拡散され、誤った情報から店舗に批判が寄せられる場面も見られました。
店舗の実際の対応
同店では6月24日、「METAL BUILD エヴァンゲリオン2号機」の予約待機列に対し「転売目的での購入は断る」と案内。整列中の客が商品名を言えなかったり、スマートフォンで商品画像の表示ができなかった場合に予約を受け付けない対応を取りました。
これに対し現地で並んでいた購入者から、店側の対応を支持するとのツイートが投稿され、広く拡散しました。
誤った情報の拡散
情報が拡散する過程で、店員が「転売防止のため日本人にしか売らない」と発言したというツイートが注目を集めました。この投稿を行ったアカウントは数時間後に「正確には転売目的で来ている外国人の方には売れない、と言っていた」と補足しましたが、主に前者のツイートが拡散(27日夕方時点で前者のRT数は約4800回、後者は約1000回)。
また、J-CASTニュースが25日にライブドアニュースに配信した記事にも、“「転売防止のため日本人にしか売らない」 京都ヨドバシの転売対策に称賛”という見出しが付けられ、誤った情報が拡散される一幕がありました(見出しは後に“商品名を言えない客の予約は受け付けない 京都ヨドバシの転売対策”に修正)。
こうした情報を目にしたネットユーザーからは、「転売対策は重要だが、『日本人にしか売らない』と言ったのであれば差別に当たるのではないか」といった批判意見が多く見られました。
ヨドバシ京都店は「日本人にしか売らない」とは言っていない
ヨドバシカメラの広報に取材を申し込んだところ、本件についてはノーコメントとの回答でした。ただし、京都店の店長がJ-CASTニュースに語った内容は事実であると認めました。
「転売目的でのご購入に関してはお断りしています」と購入希望者へ声がけしていたが、レジでは「前の人間と同じものが欲しい」と話す客が複数いた。そのため、商品名を言えなかったり、スマートフォンで商品画像を提示できなかったりした場合は、予約を受け付けなかった。
(中略)
前述のツイートでは「転売防止のため日本人にしか売らない」と店員が発言したとあったが、「外国人ということではなく、転売目的でのご購入に関してはお断りしています」
メーカーはノーコメント
本当に欲しい人に直接商品を届けたいという店側の姿勢はすばらしいものですが、商品サイトをスマホ表示するだけで回避できてしまう対策の効力には疑問も残ります。
SNS上では、作品にまつわるマニアックな質問をしてみてはどうか? といった案も見られましたが、その場合「孫へのプレゼントを買いにきたおじいちゃん」のようなお客さんを除外してしまいかねませんし、厳密に考えようとすると落とし所がなんとも難しい問題です。
人気のフィギュアを巡っては転売のためグループで買い占める行為が横行しており、「本当に欲しい人が買えない」という不満がこれまで繰り返し挙がっていました。
こうした問題の解決案として根強いのが、「メーカー側が販売を受注生産制にすれば問題が解消されるのでは?」という意見。ねとらぼ編集部では「METAL BUILD」シリーズを手掛けるバンダイスピリッツに取材を申し込みましたが、残念ながら回答は得られませんでした。
なお、「METAL BUILD エヴァンゲリオン2号機」については既に公式サイト上で再販が告知されています。筆者も予約をしそびれたので、再販情報の詳細を待ちたいと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「転売容認?」と主張に批判集まるも「チケットストリート」は「取材拒否」 弁護士は「当事者の自覚がない」とあきれ顔
福井健策弁護士「処罰法の成立にまで至った主因を作ったという自覚がない発言」。 - 「通勤ラッシュの自由席」をメルカリで転売、まさかの発想に疑問の声 広報「禁止された出品物に当たる」
指定した時間・車両の席に座っておいて、メルカリの購入画面を見せてくれた人に譲る……アイデアは斬新だけど、許されるの? - 転売、ハンドメイド作品も標的に 売れずに虚偽理由で返金要求も
トラブルに遭った作家2人に聞きました。 - 定価約10万円の「解体匠機 RX-93 νガンダム」予約開始 → 早くも「予約確保済み」として高額転売続出し物議
「転売屋の餌食」との意見も。 - 過熱化するチケット論争 高額転売は違法か? それは「必要悪」なのか?
ライブイベントで見られるチケットの高額転売問題は深刻。問題を整理し、チケット価格のさらなる多様化にかじを切る時期なのではないでしょうか。