答え:×
原作には、ドラえもんが浮いているという描写はありません。こちらも『ドラえもん百科』から広まった設定です。後に藤子・F・不二雄がこれを知って仰天したというエピソードも残っています。
2001年に発売された『決定版 ドラえもん大辞典』には、3ミリ浮いているという具体的な数字が登場しています。
解説
ドラえもんが人気になると、藤子・F・不二雄が書いていない関連本がたくさん刊行されました。それらの中には、原作にはない設定を独自に作ったものもあったのです。そうした設定は、また同じような書籍で繰り返し扱われたり、アニメに取り込まれたりして、定着していきました。
ネット上に広まっているウワサの多くは、1970年代に『コロコロコミック』で連載されていた『ドラえもん百科』が元になっているようです。これはドラえもんに関する設定をまとめた漫画で、手掛けたのは方倉陽二という当時のアシスタント。藤子・F・不二雄が監修してはいますが、原作とは違う設定が大量に描かれています。
彼が考えた設定は自由度が高く、バラエティーに富んでいます。というより、正直なところ、「どうしたらこんな発想できるんだ」というぶっ飛んだノリで展開されており、今読んでも面白く、一読の価値があると思います。
このように見てみると、ドラえもんに関するウワサは完全なデマはなく、だいたいは“公式”の元ネタがあるんですね。それがあれこれ違っているようです。
劇場アニメ『2112ドラえもん誕生』(1995年)の公開後、藤子・F・不二雄先生は「混乱している情報を整理する意味でこのアニメを作りました。もう二度と変えませんから信じてくださいね」というコメントを寄せています。しかしその後もアニメでは設定がコロコロと変わっており、混乱は収束していないようです。
とはいえ、ファンとしては「これからどんな新しい設定が登場するのか」というのも楽しみどころの1つ。時代に合わせてアップデートし、放送が長く続いてほしい限りです。
主要参考文献
- 方倉陽二『ドラえもん百科』(小学館/1980年)
- 藤子不二雄監修『ドラえもん道具カタログ』(中央公論社/1986年)
- 『ドラえ本 ドラえもんグッズ大図鑑2』(小学館/1998年)
(直江あき)
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