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吃音でうまく話せない少年が演劇部に 自分を変えられる希望を見つけた漫画に「泣いた」「勇気をもらえた」(1/2 ページ)

一歩踏み出すことで、変われる舞台を見つけた物語。

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 吃音で上手くしゃべれない男の子が、演劇部に入って変われる可能性を見出す漫画「幕開けのセリフは」が、「勇気をもらえた」と好評を博しています。作者は漫画家の有吉史織(@ari444ori)さん。

 主人公の明仁は、吃音でうまくしゃべることができません。小さいころから何度も「自分を変えたい」と思っては壁にぶち当たっていました。中学に入って最初の自己紹介でも、練習したのに言葉が出てきません。ザワザワするクラスメイトを、後ろの席の橘さんが「真面目に聞いてください」と一言で黙らせます。


自己紹介でうまく言葉が出てこず……

 橘さんと仲良くなりたいと思った明仁。同じ部活に入ろうと考えますが、彼女が入りたいのは演劇部。人前で演技するなんて無理……と諦めかけますが、「このまま一生いろんなことをやれずに生きていくのかな」との思い、そして「裏方も歓迎」という募集を見て演劇部に。

 早速一年生を中心に「シンデレラ」の演劇をすることになりますが、明仁は吃音が気になって役に立候補する勇気がありません。でも、みんなが帰ったあとで一人台本を読んでいると、すらすらとセリフが出てきます。それを見ていた橘さんは上手だったとほめてくれます。


役になりきればうまく話せる!?

 そして本番当日、王子役が風邪で早退するハプニングが起き、橘さんは明仁を代役に推薦。「役になりきれば上手にしゃべれる」と橘さんは背中を押してくれます。戸惑いながら初めて立った舞台。はじめはうまくセリフが出なかった彼ですが、橘さんが役になりきることを思い出させてくれて、初舞台は成功に終わりました。なぜ自分を代役に推薦したのか、という明仁の問いに「上手だった」し「楽しそうだった」からと答えた橘さん。「また舞台に立ってみたい?」という彼女の問いかけに、明人は立ちたいと答えるのでした。

 勇気を持って一歩踏み出したことで変われる舞台を見つけた――前向きな気持ちにさせてくれるストーリーが胸にジーンとしみます。背中を押してくれる橘さんの真っ直ぐなキャラクターもぐっと来ますね。

 読者からは「泣いてしまった」「心にくる」「勇気をもらえた」と感動の声が寄せられ、また吃音症の人からも「共感できる」「すごいわかる」との声が。

 同作は以前に「サンデーうぇぶり」に掲載された読み切り作品。有吉さんがこの作品を描いたきっかけは、スマホゲーム「ひとりぼっち惑星」(他のユーザーからランダムでメッセージが届く)で、吃音症の人から「吃音を理解してほしい」というメッセージを受け取ったこと。

 有吉さんにうかがったところ、この作品を描くに当たって、吃音を題材にした作品を見たり、インターネットで吃音の人が実際に体験したエピソードなどを調べて参考にしたとのこと。「吃音症に限らず緊張等の理由から人前で上手くしゃべれなかった経験はをしたことがある人は世の中にたくさんいらっしゃると思うし、私自身にもそういった経験があるので、調べた知識と自分自身のリアルな経験を織り交ぜることで主人公の心情が嘘っぽくならないように気を付けました」(有吉さん)

 有吉さんはWebで読める過去の作品をまとめたモーメントも公開しており、新人賞の受賞作や読み切り作品見られます。

「幕開けのセリフは」

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