8月20日(現地時間)米国農務省は、調理時に生の食用鳥肉を洗う危険について調査した結果を発表しました。細菌がキッチンに飛び散り食中毒を起こす原因になるため、研究者は「一番良いのは、生の食用鳥肉は洗わないこと」と言及しています。
米国農務省は、生肉を洗うべきではない理由が簡単に分かる動画も公開しました。肉に付いた細菌は、水はねによってシンクだけでなく壁や調理台など、複数箇所に付着していることがよく分かります。
米国農務省の調査発表では、生の食用鳥肉を安全に取り扱う方法を3つ紹介。1つは「火を使わない食品を先に調理すること」です。サラダなどの火にかけない食品の準備を先に済ませてしまいましょう。調理の順番に気を配るだけで、食中毒のリスクを大幅に下げることができます。農務省が行った調査によると、生肉を洗った60%の人がシンクに細菌を残しており、細菌が残った状態でレタスなどの調理を行った人は26%いたと発表しています。
2つ目は「細菌の完全な消毒」です。調理台やシンクを洗剤を溶いたお湯で洗い流し、消毒剤を塗ることが効果的だといいます。肉を触った手はすぐに洗うことを推奨しています。手をぬらし、せっけんで泡立て、20秒間よくこする、という手順が効果的です。
3つ目は「適切な温度で調理すること」です。料理用温度計を利用して、きちんと熱を通すことで食中毒などを引き起こす細菌を破壊しましょう。生の鳥肉は約74度、ひき肉は約71度、牛肉や豚肉などは約63度で中心まで加熱することで安全に食べられるようになるそうです。ちなみに塩水や酢、レモン汁などでは細菌は死滅しないとのこと。
食品安全を担当するミンディー・ブラシャーズ博士は「肉を水で洗ってきれいにしたと思っていても、細菌は調理台や食品に簡単に付着することが研究結果を見れば明らかです。一番良いのは、生の鳥肉は洗わないことです」とコメントしました。
きちんと火を通すだけで細菌は死滅するので、事前に洗うのは避けたほうが良いでしょう。同省の発表によれば、米国では毎年、食中毒のために約12万8000人が入院し、約3000人が亡くなっています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 医師「我慢強いと死ぬ」 腹痛だけど3日間病院に行かず……大変な状態になった実話漫画が教訓になる
痛みを感じたらすぐ病院に行きましょう。 - 食べてはいけない 食中毒を引き起こす有害植物に厚労省が注意喚起
高齢者のいる家庭は特にご注意を。 - 梅雨どきの「作り置き」、食中毒リスクにご用心 火を通した料理でも調理器具の菌が移って繁殖するおそれ
調理器具の除菌が大事。 - 海外旅行、事前準備は大丈夫? 治療費で500万円かかったケースも 病気・けがの経験、「食中毒」は2位
準備をしない人の理由トップは「自分は大丈夫だと思っている」。 - おにぎりやカレーも危険 夏の食中毒、どんなことに気をつければいい?
知識で身を守る。