格ゲーが滅法強いゲーセン店長に恋をする漫画、「ハイテクノリコ」がTwitterで好評を博しています。強い人に憧れる気持ち、分かるわ〜。
ヒロインのノリコは、ゲームセンター「ハイテクニック」(ハイテク)を1人で切り盛りする気丈な女性。心ない者から「100円でヤレる」などと良からぬうわさを立てられてはいますが、実際は「100円で格ゲーの挑戦を受ける」サービスをしている、いわば「店長兼チャンピオン」です。つまり、「100円で戦(や)れる」。
そんな彼女に夢中なのが、常連客のコザキ。今のところは恋心よりも、むしろ格ゲーで勝ちたい思いのほうが強いようです。しかしながらノリコは手強く、対戦成績は当月だけで既に50敗。彼女とは「人間(としての)性能が違う」などと常連仲間にからかわれながらも、日々挑戦を続けます。
そんなある日、コザキは外回り中にノリコと遭遇。彼女もまた仕事中で、市場調査のため近所をまわっていたのです。「中小のゲーセンがどんどん潰れている」「人気の大型筐体が入れられない小さな店は、独自性がないと生き残れない」などシビアな事情を語りながらも、「ゲームにも不況にも負けねーよ」と笑い飛ばす彼女に、コザキはますます惹かれていくのでした。
その夜もコザキはノリコに挑みますが、打つ手をことごとく読み切られて、手も足も出ません。降参して教えを請うと、彼女は「相手をよく見ろ」とアドバイス。コザキは素直に受け止めて見学に回り、対戦相手の傾向を分析することの大切さに気付きます。
そこに勝利の鍵を見出したのか、コザキは再びノリコに挑戦し、しかも「勝ったらデートしてください」と、大胆な賭けを提案。やっかいそうな電話にまいっていた彼女は最初こそ対戦に消極的でしたが、賭けの内容を聞くなり快諾しました。どうして? もしかして脈アリ?
イメージトレーニングの効果あってか、コザキはノリコの動きを読んで試合運びを優勢に。的確にコンボを決めて先制をとると、念願の勝利をもぎ取ります。
後日、2人は約束通りデートへ。ところが、連れられた先が墓地だったものだから、コザキは面食らってしまいます。戸惑う彼をよそに、ノリコはハイテクを創業した父の墓前へ。ゲーム中に心筋梗塞で亡くなったという、ゲームをこよなく愛した父への複雑な思いを語ります。
2人は墓参りを終えて喫茶店へ。隣に来るようノリコに促されて、コザキが照れながら座っていると、やたら元気のいいおばさんが向かいにやって来ました。するとノリコは、急にコザキを夫として紹介します。あ……あれっ?
どうやらおばさんはノリコの親族で、女手1つでゲーセンを経営するよりはと、前々から店をマンションに建て替えるよう勧めていた様子。きっと以前にノリコを煩わせた電話の主も、このおばさんなのでしょう……父の思い出が詰まった店をたためとは、なんとも悩ましい話だ。
ノリコはやっかいな提案を断るためにわざと負け、デートを承知して“夫役”を確保した――全てを察したコザキは、彼女の思惑に乗ることに。毅然とした態度で「お店は大丈夫です。放っておいてください」と言い放ち、おばさんを退けるのでした。
せっかくの勝利がノリコのシナリオ通りだった現実に直面して、落胆するコザキ。しかし、彼女が「デートだろ?」と、慰めるかのように伸ばしてきた手を握り、ある事実に気付きます。長年レバーを握り続けてきたその手のひらは、驚くほどにタコだらけ。ノリコの強さを支えるのは「人間性能」でも「才能」でもなく毎日の修練だと知り、彼は自分が何も“見えていなかった”と悟ります。
コザキはあらためて、実力で勝てたらデートしてほしいと挑戦。ノリコもこれを堂々と受け、「負けねーよ」とほほえむのでした。
強い女性をさまざまな角度から魅力的に描いたこの漫画は、漫画家の左藤真通(@reu_reu_)さんが2年前に著した読み切り作品。作者は現在「コミックバンチweb」にて連載中の、『将棋指す獣』で原作を担当しています。最新の3巻は10月9日発売。
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