カナダにあるダルハウジー大学のブラッドリー・ジョンストン(疫学准教授)氏が、赤身肉と加工肉の摂取を減らすことで得られる健康メリットはほとんどないと発表し、議論を呼んでいます。ジョンストン氏は「私たちの研究結果によれば、赤身肉や加工肉の適度な摂取と関連して真に健康上の問題があるのかどうかは不明確です」と発表しました。
ジョンストン氏らグループは、過去の文献を分析するシステマティック・レビューという研究を行いました。150件を超える文献を調査したのち、赤身肉と加工肉の摂取が、がんと心血管代謝に与える影響を調べたと発表しています。
5万4000人を対象とした12件の試験で、肉の摂取と心疾患やがん、糖尿病のリスクに有意な関連は見られなかったとしています。また、ある3つの研究においては、赤身肉または加工肉の摂取を1週間に3回減らした場合に非常に小さなリスク低減が見られたものの、関連は不確かだとしています。
同大学の発表によると、この研究結果を受けたアメリカがん協会(ACS)、アメリカ心臓協会(AHA)等の団体やハーバード公衆衛生大学院は、研究内容を激しく批判しているといいます。ハーバード公衆衛生大学院は「人々の健康に害を与え、栄養科学に対する国民の信頼を損なう恐れがある」と示唆しています。
本発表を行ったダルハウジー大学のニュースページには、「このような結果を信じることはできません」「積極的に赤身肉を食べる人とベジタリアンの比較を行ってみるべきではないか」といった疑問の声が寄せられています。実際、過去に世界保健機関(WHO)が1日あたり50グラムの加工肉の摂取で、がん発症率が高くなるという結果を発表しています。(関連記事)
その一方で賛成意見として「卵が健康を害さないと聞いた以来の最高のニュースです」と食事制限から解放される喜びを表現したコメントもあります。議論は賛否を巻き起こしており、今回の結果を経て、今後どのような研究が行われるのか期待されます。
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