京都アニメーション第1スタジオを襲った放火事件から3カ月、同社の八田英明社長は10月18日、京都市内で会見を開き、今の正直な気持ちや、スタジオの再建などについて語りました。事件後、八田社長が会見を開くのは今回が初。
八田社長は冒頭、会見を開いた理由について、「今日は事件から3カ月の命日」であり、ここからは作品作りに軸足を向ける時期、心を新たにチャレンジしていきたい、と思いを説明。3カ月たった今の気持ちを聞かれると、事件について7月18日以来忘れていない、何も変わっていないとし、日常にはまだほど遠い状態であると語りました。また、事件を起こした青葉真司容疑者については、「何を考えてそんな行動をしたのか」「言葉がない」と振り返りました。
事件で負傷した社員33人のうち、10月18日時点で仕事に復帰しているのは27人。事件後、退社した人もいたものの“ごく少数”だったといいます。また、今後の制作スケジュールについては「なかなか見えない問題」としつつも、現在は制作中の「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(当初の2020年1月公開から、2020年4月以降公開に延期)に全スタッフで取り組んでいるとのこと。
会社の再建については、「やるべきことは作品作り」であり、人を育てて前の日常を取り戻したいと八田社長。また、遺族や負傷者がしっかり歩めんでいけるよう、できる限りの支援をしていきたい、とも語りました。「当社の考えの基本は、作品づくりは人づくりであるということ。狭い会社ですが、昔のように肩を寄せ合って学ぶ場でありたい」(八田社長)。
また記者席からは、被害者の実名公表を伏せた(伏せるよう警察、報道に要請した)ことについての質問も多くあがりました。これについて八田社長は「まず遺族の意向に沿いたいというのが第一だった」とし、1人でも公表を望まない人がいるのならと、公表を控えるよう警察などに要請していたと語りました。また今後追悼イベントなどで、会社から名前を公表する予定があるか聞かれると、今の時点であえて会社から伝えるのが遺族の気持ちに沿っているかは分からないとし、現時点では公表は考えていないと説明しました。
今回の事件を受け、これまで2年に一度開催していた11月のファン感謝イベントについて、今年は内容を変更し、被害にあったスタッフへのお別れと、志をつなぐ式として開催することも明らかに。期間は11月3日、4日の2日間。例年のように資料展示や作品上映などは行わず、代わりに祭壇を設け、被害者の冥福を祈る一般向けイベントとして開催するとのことです。
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事件犠牲者の特掲などはしないとのこと。