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「『この人、辞める!』でスイッチが入った」――宝塚の“贔屓”の退団に全力を出すため、仕事をほとんど辞めた女女子と労働(2/2 ページ)

宝塚には「終わりの始まり」がある。

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仕事は、手段であって目的ではない

――ここまで伺っていて、仕事に対しての考え方がすごく思い切りがいいなと感じました。

 私にとって仕事は、生活の手段であって目的ではないんです。自己実現や生きがいとはつながっていなくて、お金を稼げたらそれでいいし、根っこのところでは“ポイッと捨てられる程度”の価値観しか持っていない。昔から「やりがいを持って働く」ということは想像できなくて、就職活動のときも「なんかしらの職業をしなければならんのですか」と思ったくらいです(笑)。

 自分のやりたいことを仕事を通じて実現する生き方もありますが、私は「自分のやりたいことは推しや贔屓(ひいき)がかなえてくれる」と思っていて。キラキラしている人を搾取して生きているような感覚があります。トップスターやトップアイドルって、部活に出たり放課後友達と遊んだり……といった一般的な生活を手放して、その代わりにオタクにキラキラしたものを見せてくれている。私はそのキラキラを見ているのが生きがいなんです。

――明日海さんの退団は11月24日(インタビュー収録は11月初旬)。いまどんな思いでいますか?

 みんな大人なので、入り出待ちで取り乱して泣くような人はいないです。その代わりに家や観劇中に音もなく泣いています。今の公演、見るたびに泣いているんですが、どうして泣いてるのかどんどんわからなくなってくるんですよね。さみしいのもそうですが、「好き」という感情で泣いている気がする……。

 24日まで全力で走るために、インフルエンザや骨折をするわけにはいかない……! と気負っています。明日海さんもファンが全力を出しているのを知っているので、ファンの体調を気遣う発言もよくしてくださいました。千秋楽の日はチケットが取れているかわからないですが、取れようが取れまいが劇場には向かいます。

――頑張ってください……! 最後に、24日を過ぎたあと、Sさんの今後の予定を教えていただけますか?

 退団後の明日海さんをどう応援していくかも、ふたを開けてみないとわかりません。ご本人は男役が好きで、男役を極めた人。今後どういう活動をされるのかはまだお話されていないので……いちオタクの希望としては、ご本人が大好きなハワイで1年くらいゴロゴロしてほしいです。今まで死ぬほど忙しい日々だったので。「ハワイ行きます!」といったらオタクは喜んで旅費と滞在費を出すと思います。

 仕事面については、来年以降に週5の仕事を探そうと思います。趣味の世界ではどうだろうな……タカラジェンヌさんは「代わりがいない」んです。もちろん、似たような方や、明日海さんに憧れて男役スピリットを受け継いだ方がいたとしても、明日海さん本人はいない。この宗派が好きだったから次は教義が近い次の宗派に……というわけにはいかないんですよね。また宝塚で贔屓が見つかったとしても、男役さんではないと思っています。

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