Twitterで大人気「料理上手な大蛇丸」インタビュー 「自分が大蛇丸だと気付いたのは5年前」(1/2 ページ)
木の葉を崩す勢いで大人気の「自分を大蛇丸と信じて止まない一般男性」にインタビューしました。
「冷凍餃子を口寄せするわ」「サスケ君の万華鏡写輪眼みたいに綺麗じゃなァ〜いッ!」――大蛇丸の声マネと料理を組み合わせた動画シリーズ、通称「自分を大蛇丸と信じて止まない一般男性」をご存知でしょうか。
※大蛇丸:『NARUTO』のキャラクター。「伝説の三忍」に数えられるほどの実力者で、自らの野望をかなえるために暗躍する。料理が得意な描写はない。
大蛇丸のオネエ口調が料理解説と妙にマッチし、11月以降にツイートされた動画は軒並み100万〜300万再生の大ヒットを記録。本家の声を担当する声優・くじらさんも反応し、その人気は木の葉を崩す勢いです。
こうした状況で、投稿者のとっくん26歳(@kuntotu)さんは何を考えているのでしょうか? 声マネのルーツや大蛇丸への愛を聞きました。
アラ、本当に大蛇丸になったのねぇ、ワタシ
――自分が大蛇丸だと信じるようになったのはいつごろでしょうか
とっくん26歳 5〜6年ほど前、弟と「ナルティメットストーム」(『NARUTO』の対戦ゲーム)を遊んでいるとき、気まぐれでアフレコしてみたのが最初です。「兄ちゃん大蛇丸うまいね」と褒められて、それがきっかけで声マネを練習するようになりました。仲良いんですよ、弟と。
――イタチみたいな大蛇丸だったんですね
とっくん26歳 でも、本当の意味で「信じるようになった」のは最近かもしれません。10月26日に投稿した「自家製の焼豚でビールをやる動画」がバズったくらいから、「とっくん26歳」より「大蛇丸」でエゴサーチした方がはかどるようになって、「アラ、本当に大蛇丸になったのねぇ、ワタシ」と感慨深くなりました。
――ほとんどの動画で飲酒していますが、やはり撮影は夜に?
とっくん26歳 平日の会社勤めから帰宅して、そのままフツーに料理してる状態をiPhoneで撮影しています。だから「この1杯のために生きてるのよワタシ」という発言、あの瞬間は本当に素です。
――言葉選びのセンスが絶妙ですよね。「この1杯のために生きてるのよワタシ」も、焼き肉屋でバイトを始めた大蛇丸ならギリ言いそうなリアリティーがあります。
とっくん26歳 ありがとうございます。動画を収録したらすぐにアテレコに取り掛かるようにしています。ほろ酔いの状態で思いついたまましゃべった方が、小さいボケが出てきやすいんですよ。
こんなに適当な感じでうまくいっているのは、大蛇丸というキャラクターの懐の深さ、魅力に助けられているからでしょうね。最初は恐ろしいラスボスとして登場して、共同戦線で頼れる姿を見せたりしつつ、最終的にはネタキャラっぽいポジションに落ち着くという。
――技名もかっこいいですよね。とっくんさんの大蛇丸モノマネは「潜影蛇手」が決めぜりふになっていますが、響きの良さで使っているのでしょうか?
とっくん26歳 言葉の響きよりも、身体感覚的にしっくりくるというか……。「潜影蛇手」の袖口から蛇をビャッと出す感じが、料理にいろいろぶち込む動作とリンクするんですよ。
――なるほど、食材を口寄せするイメージだったと。じゃあ「穢土転生」は……
とっくん26歳 おかわりです。
※潜影蛇手:袖口から蛇をビャッと出す技。
※穢土転生:死者をよみがえらせ使役する卑劣な禁術。
――大蛇丸以外のキャラクターも声マネされていますが、レパートリーはどれくらい?
とっくん26歳 自由にしゃべれるのは「ハリー・ポッター」のスネイプ先生、大塚明夫さんのキャラ全般、それと大蛇丸……。せりふ一言だけでよければ30人くらいはマネできます。
――30人。すごい。キャラ選びの基準はあるのでしょうか。
とっくん26歳 基本的に低めで渋い声が得意です。後は「試しにやってみたらけっこう似てた」ってパターンが多いかもしれません。そこから練習で細かいディテールを詰めていく感じですね。
とっくん26歳 小さいころから人のマネをするのが好きで。クラスに1人くらい、先生のモノマネで笑いを取ろうとするヤツがいるじゃないですか。ああいうタイプの子どもでした。
芸人のコロッケさんが大好きだったんですよ。世代じゃないから、五木ひろしさんの歌とか全然分からないのに、腹抱えて笑っちゃって。VHSを擦り切れるほど見ていました。
――言われてみると、とっくんさんの大蛇丸からはコロッケさんへのリスペクトを感じます。単にうまいだけ、似ているだけじゃなくて、あえて本人がやらなさそうなことをエンタメに昇華させるというか
とっくん26歳 ああ、そうか、自分でも初めて気付きました。無意識でしたけど、めちゃくちゃ影響受けてますね。なんとなく大蛇丸と料理を組み合わせたら面白いかな、と思って始めた企画だったんですが、発想の源泉には「森進一さん×ロボットダンス」とか、コロッケさんの刷り込みがあったのかもしれないです。
――もしかして、とっくんさんの大蛇丸がオネエ度増し増しなのは
とっくん26歳 美川憲一さん……。
とにかく自分が食べたいものを作って食べているだけ
――料理で影響を受けた方はいますか?
とっくん26歳 YouTuberのかねこ(チャンネル名「きまぐれクック」)さんですね。ビールの銘柄を「〇〇のヤツ」と表現するのも、かねこさんリスペクトです。
地元の埼玉から鹿児島に転勤が決まって、知り合いもいないし、観光も数カ月も終わっちゃうしで、とにかく暇だったんですよ。それからYouTuberさんの動画を見始めて、自分も投稿してみたいと思うようになりました。
※きまぐれクック:YouTuberのかねこさんが2016年に開設したYouTubeチャンネル。
――おいしそうなご飯も人気ですが、料理は昔から好きだったのでしょうか?
とっくん26歳 いえ、料理は社会人になってから始めたので、腕前はまだまだです。だから「レシピを教えてあげよう!」みたいな気持ちはあまりなくて、その日の気分で、とにかく自分が食べたいものを作って食べているだけ。料理部分は完全に自己満足ですね。
――なるほど。食べたいものを食べているからこそ、実食パートの飯テロ度が増しているのかもしれませんね
とっくん26歳 僕自身、飯テロされたい派なんですよ。昔の永谷園のCM――お茶漬けとか「あさげ」とか――ただうまそうに飯を食うだけの映像がめちゃくちゃ好きで。だから、というわけでもないんですけど、動画でも実食の時間は長めに取っています。成人男性が飲酒したり飯食ったりしてる姿に尺の半分を使うって、料理動画として考えたら正気じゃないんですけど。
――動画には「自分も料理したくなった」「マネしたいのでレシピを教えてください」といった感想も寄せられていますが、これは本意ではない?
とっくん26歳 いやいや、それはめちゃくちゃうれしいです。特に料理の写真付きで感想をいただけたりすると、サスケ君の体を乗っ取ったときよりうれしいですね。
――ちなみに「ライブを見に来てくれたら何よりうれしい」という旨をツイートしていますが、デスコア(メタルの派生ジャンル)バンドで演奏されているのですよね?
とっくん26歳 はい。HOTOKEというバンドでドラムを叩いています。拠点は福岡ですが、11月には東京でも演奏させていただきました。
――やはりライブのMCでは大蛇丸を?
とっくん26歳 それに関しては、まだ葛藤がありまして……。僕はHOTOKEの音楽に惹かれて加入した後発メンバーなんです。いちファンとしてバンドのイメージは崩したくないけど、きっと大蛇丸を喜んでくださる方もいるでしょうし……。
――「音楽性を突き詰めるか、売れ線に走るか」という永遠のテーマを大蛇丸のせいで悩んでるの、正直めちゃくちゃ面白いですね
とっくん26歳 答えが出るまで、ひとまず大蛇丸は封印しています。あ、屍鬼封尽しています。
――では、最後にとっくんさんが考えるメタルの魅力をお願いします
とっくん26歳 かっこいい曲を耳にして、気が付けばリズムを取っていた経験が誰しもあると思います。デスコアやヘヴィメタルと呼ばれるジャンルは、その気持ちよさを極限まで高めてくれます。最初は分からないかもしれませんが、ごちゃごちゃ考えなくて大丈夫です。頭を空っぽにして音楽に全身をあずけてみてください。
また、マイノリティーなジャンルだからこそ、仲間と出会い、非日常な時間を共有できる喜びもひとしおです。声マネで僕を知っていただいた方が多いと思いますが、ぜひライブにも足を運んでいただければと思います。
取材協力:とっくん26歳(@kuntotu)さん
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