【エッセイマンガ】野菜も白飯も食べない1歳の息子、母親が考えたレシピとは 料理研究家・たっきーママインタビュー
「アドバイスをくださる人もいたんですけど、どれも一般論で」
小さな子どもを持つ親にとって、日々の食事は悩みのタネ。栄養面も気になるけど、食べてくれなかったら元も子もないし、子どもによって好き嫌いが違うし、そして、他の家事や仕事もやらなければならないし……。
そんな慌ただしい毎日に対応すべく、料理研究家・たっきーママさんが考案したレシピを紹介するエッセイマンガ「不器用な私が家族を笑顔にする魔法のレシピを作れるようになったわけ」。そのオリジナルレシピが生まれる背景にはどんな育児の苦労があったのか、インタビューしました。マンガ本編もあわせて掲載します。(聞き手:直江あき)
マンガ「不器用な私が家族を笑顔にする魔法のレシピを作れるようになったわけ」とは?
人気料理ブロガー・たっきーママ。簡単でおいしい人気のレシピは、働きながら2人の息子を育てつつ、毎日の家事に奮闘する日々の中から生まれました。
そんな家族のために考えた15皿の物語をコミックエッセイ化。出産後に直面した“進まない離乳食”問題に始まり、仕事復帰で朝晩は戦場! な日々のお助けメニューなど、実生活に根差した本当に使えるレシピとともに紹介します。
原作者プロフィール:たっきーママ(奥田和美)(Twitter:@kazumi_okuda/ブログ:たっきーママ(奥田和美) 公式ブログ)
料理研究家。料理レシピ本大賞in Japan'2016入賞。レシピブログアワードお弁当部門グランプリ3連覇。最新刊『材料も手間も最小限。たっきーママの「めんどくさい!」がなくなるレシピ』(扶桑社)ほか著書全14冊出版、累計100万部突破。高1、小6男子の母。嵐と、マンガを読むのが趣味。
第1話「レンジ蒸しパン」
その他の一部エピソード、購入先などはWebマンガ誌「コミックエッセイ劇場」に掲載されています
子どもが離乳食を全く食べてくれないツラさ
――― 今回は「離乳食から好き嫌いが激しかった子どものために、『レンジ蒸しパン』のレシピを考案した」というエピソード。離乳食をあげていたときはどんな感じだったのですか?
うちは男の子が2人いるんですが、上の子は離乳食を全く食べてくれませんでした 。とにかく白ご飯を口にしなくて……。
ご飯代わりになるもので、一番食べるのが豆腐でした。豆腐を食べていれば、ご飯を食べなくても大丈夫というのをどこかで聞きかじって、お豆腐を材料にしたものをいろいろ作っていた記憶があります。豆腐そのままだと食べなかったんですけど、だしと一緒に煮たり、茶碗蒸しにしたりすれば食べてくれることもありました。
――― すごく凝ったものを作っていたんですね
このときはは病むくらいに思い詰めていましたね。
幼稚園などに通い始めれば、給食があるのでそれで生き延びてくれるかもしれませんけど、それまでは自分が作ったものだけで生きているので、すごく気負ってしまって。離乳食を食べてくれない、というのがすごくツラかったんです。
うどんも食べてくれたので、うどんにも特化していました。
出掛けるときは離乳食のうどんを持ち歩いて、入るお店も絶対にうどんがあるところにしていました。「麺カッター(ヌードルカッター)」という、とりわけ用の道具も常に持ち歩いて。とにかくずっとうどんを食べさせていましたね。
けれど、うどん自体にはそんなに栄養があるわけではないので、これでいいのかなとはずっと思っていました。「いかにアレンジするか」を必死で考えていましたね。粉に野菜を練りこんだうどんも作りましたが、色が気持ち悪かったのか食べてくれませんでした。
――― 子どもがご飯を食べないことに関し、周りに言われたことは?
アドバイスをくださる人もいたんですけど、どれも一般論で、もうやり尽くしていたので困りました。
一番記憶に残っているのは、ママ友から言われた「3歳までに白ご飯を食べない子は一生食べないらしいよ」という言葉ですね。信じていたわけではないんですけど、頭の隅に残って気になっていました。今は白ご飯が一番の好物ですし、結果的にはただの迷信だったのですが。
相手は良かれと思って言ったのかもしれませんけれど、当時は不安でしたね。
食べることに興味がない子どもでも「食事の時間がつらくならないように」
――― うちは逆に息子が食欲旺盛すぎて体重管理に悩んでいますが、周囲に相談しても「食べないよりいいじゃない」と言われるだけ
うちも下の子が小さいときは食べ過ぎちゃって困りました。それはそれで大変ですよね。食べない子の方が焦りで追い詰められる部分が大きかったんですけど、悩みはそれぞれなんだなと実感しました。
ちょっとぽっちゃりしちゃっても、小さい子にダイエットさせるわけにはいかないし、親としてはおいしそうに食べてくれるとうれしいじゃないですか。止めるのも嫌だし、かといって、あまり食べさせてしまうとぽちゃぽちゃっとしちゃうので、葛藤はありましたね。
けれど、小学校高学年になれば背も伸びて、「自分でダラダラ食べない」などコントロールできるようになってきました。今振り返ると、そんなに悩まなくてもよかったなと思います。
――― ご長男は、蒸しパンのようなおやつをあげたら際限なく欲しがるようなことはありませんでしたか?
上の子の場合は、全然なかったですね。一口食べたら「もういらない」みたいな。今でもそうなんですけども、食にあまり興味がないんですよね。あれば食べるし、なかったらいらないくらいのレベルです。
――― 食に興味のある子とない子で、育児の違いは?
よく食べる次男はこってり系が好きなんですけれども、食べない長男はさっぱりしたものが好みでした。同じ家で育っても、好みが違います。
長男は嫌いなものを無理して食べさせようとすると、食べること自体が苦痛になるタイプ。料理は大皿で出しておのおの好きなものを好きなだけ取る形式にしていました。そうすると、次男はこってり系のものを食べ、長男はご飯に納豆、おかずをちょっとつまんでおしまいという感じ。
でも、今は「絶対に食べられない」というものはなくなりましたね。成長とともに、気付いたら好き嫌いがなくなっていった感じです。
――― 市販品だけに頼らず、手作りで試行錯誤を重ねた理由は何ですか?
当時は「市販品ではなく、手作りのものを食べさせなきゃ」という気持ちがすごく強くて。離乳食は市販の離乳食ばかりだったので、手作りできるものはしなきゃいけないのかなという義務感がありました。
ただ、実際はけっこう市販品に頼っていて、市販品のストックはすごかったですよ。今回の「レンジ蒸しパン」のレシピだって「市販の甘いパンなら色がついていても食べる → 野菜を入れた蒸しパンを作れば食べてくれるのでは?」と生まれたものですし。
――― 料理研究家にそう言ってもらえると、励まされますね
手を抜けるところは抜きまくってましたよ。家はカップ麺だらけです(笑)。
(続く)
本企画は全4本の連載記事となっています
- (1)野菜も白飯も食べない1歳の息子、料理研究家の母親が考えたレシピ
- (2)「7年間くらいちゃんと寝たことがなかった」ほど忙しい育児生活 料理研究家が考えた“10分ハッシュドポーク”のレシピ
- (3)幼稚園の給食を食べない息子、でも育児中の料理は時間との戦い 料理研究家に聞く“育児で一番大変だった時期”
- (4)家事も育児も「頑張り過ぎず、自分も子どもも楽しめるように」するためにできること
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