芸術作品の高画質鑑賞を提供するサービス「Google アートプロジェクト」に、気候変動の影響を受けている世界遺産5カ所を紹介するコンテンツ「Heritage on the Edge」(直訳すると「危機にひんした遺産」)が登場。「建物がかつてないほど急速に劣化しています」と、警鐘を鳴らしています。
「Heritage on the Edge」ではイースター島のラパ・ヌイ、スコットランドのエディンバラ、バングラデシュのバゲルハット、タンザニアのキルワ島、ペルーのチャン・チャン、を取り上げています。
直接的に気候変動による危機を訴えるだけでなく、3Dモデルにより建物などの細部をながめることができたり、バーチャルツアーで散策を行えたりと世界遺産の魅力を理解することができます。
例えばスコットランドのエディンバラ城では、「エディンバラ城について知られていない7つのこと」「エディンバラ城のバーチャル散策ツアー」「3Dエディンバラ城」などが用意されています。気候変動による具体的な危機としては、降雨により地下水が上昇し、城周辺の火山岩を浸食して歩行者や車、観光客などの被害につながる可能性などを視覚的に説明しています。
この取り組みはデジタルレコード・アーカイブなどを行うCyArk、遺跡の保存などに関わるICOMOS(国際記念物遺跡会議)との共同で行われたもの。
気候変動による危機を議論するために世界遺産を取り上げる理由について、ICOMOSの担当者アンドリュー・ポッツ氏は「文化遺産がなければ、人々はよりどころやアイデンティティー、そして共同体としての感覚を失います。文化遺産はわれわれをむすびつける“接着剤”のようなものです。そして気候変動によりこうした絆を失ったとき、共同体の結束がゆるんでしまうのです」と、見解を表明しています。
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イコモスが世界遺産に登録するよう勧告したことを発表していた。