中小企業の部長がパワハラ気質を妖精にとがめられつつ、魔法少女に変身して戦う漫画が要素を盛りすぎてカオスです。作者のマヱラバ(@110nouso)さんが「おじさんがパワハラについて学ぶ漫画」と表現するように、パワハラへの問題提起になるかもしれないし、ならないかもしれない。
主人公の日野雅史は高圧的な管理職。今日も今日とて、報告書の提出が遅れた部下に、「お前さぁ……仕事ナメてない?」とプレッシャーをかけています。
すると「そんな大声で部下をしかっちゃダメだピョン!」と注意する声が。魔法の妖精「ピョン吉」が、カバンの中から出てきたのです。魔法少女ものあるある“妖精がこっそり公共の場についてくるやつ”が唐突に発生し、普通のサラリーマン漫画らしき場面は1ページ目を最後に途絶えてしまいました。
しかも、第2の妖精「ラブリーヌ」までついてきていて、「部下を怒鳴りつけたりお前呼ばわりして萎縮させる行為はパワハラに該当する可能性が」と説教。日野が困惑しつつも部下の報告書に強めのダメ出しをしていると、彼を指導するため左尻を魔法で爆破します。
日野はさらに、女性社員への“ちゃん付け”を「セクハラの可能性がある」ととがめられることに。右尻も“指導”されてお尻が丸こげなってしまいました。トイレに隠れてしょんぼりしていると、今度はピョン吉が怪人の出没を察知。せき立てられて、お尻を隠しながら出動させられるのでした。
現場の公園では、特に能力のない怪人が、自己紹介しながら大暴れ。日野は今こそ戦いのときと、「みんなの笑顔がアタシのボーナス! 世にはびこるブラック許さない! サラリーホワイト参上!」と、名乗りも高らかに変身。普段から家庭の不和に頭を痛め、魔法少女へのなりきりに逃げ場を見出しているのでノリノリです。
ところが、勇ましく「悪事はそこまでよ! お前……」と怪人に挑みかけたところで、背後から猛烈なプレッシャーが。ラブリーヌが「怪人相手にもハラスメントなき会話を実践しろ」と、“無言の圧”をかけていたのです。日野は仕方なく「あなたお名前は?」と聞き直しますが、身も心も少女化しているせいで、「ど……どうしても知っておきたいの」と、ラブコメチックな物言いをしてしまいました。
その恥ずかしげなしぐさが妙にツボに入ったらしく、怪人は心をときめかせて急に改心。サラリーホワイトにアピールしようと、「日課の清掃ボランティア」と称し、先ほどまで自分が散らかしていたゴミを片付け始めます。
「このように理不尽なハラスメントをなくせば平和な社会が実現できる」とラブリーヌにさとされた日野は、内心「じゃあ俺にも優しくしてくれないかなこの妖精」と思いつつも、会社での振る舞いを改めることに。ついさっき怒鳴りつけた部下を優しくフォローするのでした――「期待してるわよ!」と、うっかり魔法少女グセをのぞかせながら。めでたしめでたし……?
漫画は広く拡散され、感想のリプライも多数。「『右尻もボカン』で笑いをこらえきれなくなった」「『ギャグ漫画日和』的な理不尽を感じる」といったギャグ漫画としての評価や、「日野は普段のストレスを部下などにぶつけていないだろうか」「上司は上司で大変」といった真面目な考察など、反応はさまざまです。
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なんて合理的な契約だ!