カセットボンベやスプレー缶製品による事故の防止策を国民生活センターが動画を交えて紹介しています。廃棄の際は必ず中身を使い切るなど、簡単にできる対応策ばかり……!
殺虫剤、化粧品、医薬品、塗料、消臭・芳香剤など身近に利用されているスプレー缶(エアゾール缶)製品と、日常生活だけでなく、災害時などの不測の事態でも利用できるカセットボンベとカセットコンロですが、スプレー缶製品による事故は後を絶ちません。
特に記憶に新しいのは2018年12月に北海道札幌市、2019年7月に大阪府高槻市で発生した大規模な爆発火災事故で、いずれもスプレー缶製品の不適切な廃棄が原因とみられています。
そうした事態を受け、国民生活センターではスプレー缶製品やカセットボンベ(以下、スプレー缶製品等)の使用・保管・廃棄方法などに関するアンケートや使用実態の調査を行った他、スプレー缶製品による事故の危険性についてテストを行い、注意喚起及び情報提供を発表しました。
消費者へのアンケート調査
自宅にスプレー缶製品等を所有する20代から80代の男女1万人に対して国民生活センターが使用実態に関する調査を行ったところ、次のような回答が寄せられたと言います。
- 所有するスプレー缶製品等の割合と置いたままになっているスプレー缶製品等の割合に違いがみられました。
- 2割以上の人が可燃性であることを知りませんでした。
- 4割以上の人が注意書きを読んでいませんでした。
- 約8割の人は中身を使い切ってから廃棄していました。
- 中身を使い切ってから廃棄している人の約6割がガス抜きキャップを使用していましたが、使用状況に年代差が見られました。
- ガス抜きキャップを使用していない人の約6割がガス抜きキャップがついていることを・知らなかったほか、約3割の人は穴を開けて残存ガスを抜いていました。
スプレー缶製品等の使用・保管・廃棄に関するフィールド調査
また各家庭にあるスプレー缶製品等の使用実態を調査するために、徳島県の協力の下、徳島県在住の100人に対して聞き取り調査を行うとともに、置いたままになっているスプレー缶製品等の状況を調査したところ、次のような回答が寄せられました。
- 9割以上の人がスプレー缶製品等の廃棄時に中身を使い切ると回答し、廃棄に対する意識が高いことがわかりました。
- 1割以上の人が廃棄時にヒヤリとした経験等があり、使い切ったと思っても中身が残っている可能性が考えられました。
- 約8割の人は中身が5gほど残った状態でも廃棄する可能性があることがわかりました。
- 1軒あたり平均約5本のスプレー缶製品等が置いたままになっていました。
- 現在のスプレー缶製品等の表示とは異なった、30年以上前に製造・販売されたものもありました。
- 広い範囲で腐食しているものや、内容物が漏れ出しているものもありました。
家庭内での可燃性ガス(スプレー缶製品)による引火事故を想定したテスト
さらに消費者センターでは、スプレー缶製品に使用されている可燃性ガスの燃焼テスト及び家庭内の台所を模した環境でガス抜きを行った場合の危険性についてテストを実施。噴射剤が可燃性ガスのスプレー缶製品を用いてテストしたところ、次のことが分かりました。
- 可燃性ガスは空気よりも重く、密閉空間などでは時間が経過しても火種があると引火する可能性がありました。
- シンクに可燃性ガスが滞留し、付近の火気によって引火する可能性がありました。
消費者へのアドバイス
こうした結果から国民生活センターは消費者に対して次の3点をアドバイスしています。
- 廃棄の際は必ず中身を使い切りましょう。
- スプレー缶製品やカセットボンベの廃棄方法は自治体によって異なります。空にした状態でお住まいの自治体の指示に従って廃棄しましょう。
- 日常的に使用することなく放置されているスプレー缶製品やカセットボンベがないか確認しましょう。
また業界へは廃棄方法について消費者へ一層の周知・啓発を要望すると締めくくり、事故を防ぐべく注意を呼び掛けています。
少しの注意で防げるカセットボンベ・スプレー缶製品の事故。正しいガス抜きの知識と廃棄方法を覚えておきたいですね。
(Kikka)
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