日本国内では、在日外国人の厳しい労働環境や、技能実習生への賃金未払い問題などが顕在化しているものの(関連記事)、日本で働く外国人労働者は増加し続けています(厚生労働省2019年10月統計)。
彼ら・彼女らはどんなイメージや希望を持って日本に働きに来るのでしょうか。外国人向け求人チャットコンシェルジュ「JapanWork」は、2月20日〜3月12日に現在国外に住んでいる外国人(102人/20ヵ国、10代〜50代)を対象に「海外から見た日本の働く環境」をアンケート調査しました。
アジアを中心に日本人気は健在
アンケートに回答した外国人のうち、約4割はフィリピン、約3割はネパール人。「日本で働きたいと思った事はありますか?」という問いに対しては92.2%もの人が「はい」と回答しています。
「働きたい」理由についてのコメントには、「オンラインで英語の教師をしていた経験があり、日本の文化に興味を持った。加えて、外国人にとって一番安全で住みやすい国だと思う」(フィリピン、30代)、「日本の文化やライフスタイル、親切な日本人が好き。経済的にも発展しているので、いつでも機会があれば働きたい」(ネパール、30代)、「国際経済について学んでから、長い間日本の文化に興味を持っている」(フランス、20代)と文化や社会に対する興味を挙げたものがありました。
また、「今よりもっと稼げると思う」(マレーシア、20代)、「以前、日本に留学しアルバイトをしていた時、給料は高くボーナスも支給された。全ての従業員に平等だった。仕事をするのにはとても良い国だと思う」(フィリピン、30代)と良い待遇で働ける、という理由を挙げたものも。豊かで安全な国、といった印象なのかもしれません。
さらに、「もし、自由に決められるとしたらどの国/地域で働きたいですか?」には、なんと87.1%の人が日本と回答。欧米諸国(アメリカ・イギリス)の4.9%と大きく差をつけています。今でも多くのアジアの人たちにとって、日本は働き先としての魅力があるようです。
そして、「日本で働いた事がある人を知っていますか?」という質問に89.2%が「はい」と回答。日本での成功体験を見聞きした上での高い評価であることがうかがえます。
次の職場でいかせる経験や高い給与を期待。しかし、「日本語を話せなければ……」
では、外国人は日本の働く環境について、どのようなイメージを持っているのでしょう。アンケート調査では「良いイメージ」と「悪いイメージ」の両方が質問されていました。
良いイメージとして最も多いのが「経験を次の職場で活かせる」38.2%、そして、次いで「給料が高い」が20.6%。「職場環境が清潔/整っている」14.7%、「雇用制度が保証されている」9.8%と働きやすさについてが続きます。スキルアップや収入アップを期待する人が多いようですね。
一方、外国人が持つ日本の職場の悪いイメージについては、多くの外国人が「日本語を話せなければ昇給できないと思う」36.3%、「モラルやルールに厳しすぎる」30.4%を挙げており、言葉や価値観のちがいに対する不安がうかがえます。続いて長時間労働(「勤務時間が長すぎる」16.7%)が挙げられていました。
言葉の壁を意識していると思われる回答はほかにもあり、「日本で働く場合、障害となりうる問題は何ですか?」という質問に、「在留資格の取得」(39.2%)の次に多いのが「言葉の違い」で36.3%の人が挙げています。
多くがコミュニケーションが必要な仕事を希望
さて、多くの外国人にとって「働きたい国」「一度は働いてみたいと思った国」「スキルアップや収入アップのできる国」な日本ですが、外国人は日本でどのような仕事をしたいと考えているのでしょうか。
「日本でどのような業種/職業に就きたいですか? 」という質問に大して最も多かった回答は「カスタマーサービス」30.4%、次いで「営業」(15.7%)。どちらもお客さんとのコミュニケーションがメインの業務で、日本語での会話が重要になります。それに続くのが「IT」の 13.7%です。
しかし、厚生労働省の調査によると、実際に日本に住む外国人の労働者が就くのは製造業が最も多く、それに続くのがサービス業となっています。13.7%の外国人が希望する「IT」も、関連すると思われる情通信業で働く外国人は4.1%とかなり少ない割合です。希望する仕事に就くことができない人もいるのではないのでしょうか。
「稼げる」「経験が生かせる」「働きやすい」など、まだまだ良いイメージを持たれている日本。家族や友人、慣れ親しんだ言葉や習慣の国から離れて、日本に働きに来た外国人が、イメージとの大きなギャップや、言葉のちがいによる困難を感じずにいられたら、と願うばかりです。
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