東京五輪聖火リレーの第一走者として「なでしこジャパン」メンバーの1人、川澄奈穂美さんが3月23日、走者辞退の判断を下したことをSNSで報告。「リスクを冒してまで聖火リレーに参加すべきではない」と断腸の思いをつづっています。
2011年のサッカー女子ワールドカップで優勝した日本代表「なでしこジャパン」のメンバーは、3月26日から始まる東京五輪の聖火リレーで第一走者として、福島県のスポーツ施設「Jヴィレッジ」を走る予定。川澄さんは現在、米国女子サッカーのプロリーグ「ナショナル・ウーマンズ・サッカーリーグ」(NWSL)のスカイ・ブルーFCでプレーしています。
聖火リレー3日前にブログを更新した川澄さんは、「こんな機会一生に一度あるだけでとんでもない奇跡」と聖火リレー走者に選ばれたことへの思いをつづりつつも、「第一走者として、2011年なでしこジャパンのみんなと一緒に走る予定でしたが、今回辞退することにしました」と辞退を報告。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、日本政府は3月22日、米国からの入国を制限する方針を決定、NWSLも3月16日(現地時間)に全チームの活動を3月22日まで停止すると発表していますが、川澄さんは「渡航制限措置が決定する前に辞退を決めていました」と説明。
リーグの練習停止の決定前に帰国していれば参加することはできたとし、所属チームからも渡航の危険性と自国での五輪開催とその聖火リレーに参加することの意義を総合的に判断し、自身で決断するよう伝えられていたことを説明。
しかし、新型コロナウイルスの問題は世界中で死者が出るなど非常に深刻で、「誰かの大切な人の命を奪わないためにどうするかを考えなければいけない」と自身が感染してしまうこと、また媒介者として誰かを感染させてしまう可能性に言及。さらに、プロサッカー選手としても、万が一感染した場合に関係者にどれだけ迷惑を掛けることになるかは容易に想像できるとつづっています。
こうした状況を鑑み、「健康な身体があるからこそ、プロサッカー選手として活動できているわけです。(新型コロナが)これだけ急速に拡がり、死者もでて、治療薬もない今、リスクを冒してまで聖火リレーに参加すべきではないという判断をしました」と辞退に至った理由を説明しました。
それでも断腸の思いであることには変わりなく、「行こうと思えば行けたのに行かない判断をしたのは私です 恨むなら私を恨んでください」としつつも、「もう今は何が起こっても仕方ないと割り切って『生きてるだけで丸儲け』ってことで笑っていきましょう 生きてこそです!!!!!!」と自らを鼓舞するようにブログを締めています。
この発表には「良い判断」「川澄選手さすが! 周りのことも見えていますね」「アスリートから声を上げるのが少ない日本にあり、声を上げてくれありがとうございます」「自分の為、人の為だね。素晴らしい」などその判断を支持する人の声がネットにあふれています。
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