腋フェチ
月刊コミックバンチで始まった『見せたがりの露乃ちゃん』(降本孟)がものすごいピンポイントに性癖を突いてくるマンガなので、書かねばならぬと思った。話題の中心になっているのは腋。なんて狭く美しい題材なんだろう。
腋は不思議なパーツです。例えばこの扉絵をご覧ください。
視線が行くのって何パターンがあると思います。まずパンツ周辺(これは見えているのか?)。次に胸元。太もも。そして顔。かわいいね、えっちだね、という部分に意識は行きがちです。
バスケットをやっている彼女、超無防備です。男子の視線はスケスケなブラとかパンツに向かいます。単純だからね男子はね。こんなに透けるユニフォーム、構造的欠陥がある気がしますが。
ここで腋に視線が行くのは、相当な難易度です。乳尻太ももの吸引力に負けず、あえて腋を見たくなる。これこそがフェチです。ちょっと好き、じゃない。何よりも好き。
腋フェチの人は結構多いと思います。理由は多々あるでしょうが、その一つは見えそうで見えない、その割に日常で見えるというところなんじゃないか。パンツがチラ見えするとしてもそれは少なくとも日常ではない。けれども腋は半袖やノースリーブなら、簡単に合法的に見られます。これは腋の魔力に魅入られた少年と、見せる楽しみに目覚めてしまった少女の物語。
見られる幸福感と見たい欲望
ちょいギャルな露乃は、誰もが振り返るようなかわいい女の子。整った見た目もさることながら、ちょっとだけ隙があるのも高得点。といってもズボラなわけではなく、意図的にわかっている隙です。周りからの視線には人一倍敏感。誰かに見られることに幸せを感じる様子。
通学中の彼女を見つめる少年がいました。体のあちこちを見るでもなく、ただ一点、露乃の腋だけを見るという筋金入りの腋フェチ。さすがに露乃もここまで一点集中で見られたことはないらしい。しかもおしりとかじゃなくて腋。「こんな所……好きな人いたんだ……」と困惑。あまりのガン見っぷりに「スナイパー君」と名付けました。
露乃はこの視線を嫌がるでもない。むしろここまで視線をめぐらされるとドキドキする。見る側見られる側の奇妙な通じ合いが始まります。
子どもという免罪符
腋フェチのみならず、窃視癖の才能も感じられるスナイパー君。彼が幼い少年だというのが作品もキモです。
これが成人男性になった途端、作品は変態度を増します。いやもう変態的ではあるんですが、スナイパー君の変態性は、思春期の性の目覚めそのものにも見えるので、ちょっと爽やか度が高い。
電車の中で露乃の腋を見るスナイパー君。他にも腋の見える女性がいるにもかかわらず、彼の興味は露乃の腋だけです。それってもう、露乃の腋への恋じゃん。一途な彼の視線は、健気でかわいらしさすらあります。
スナイパー君の視線は「性」への興味や、「一目惚れ」的な困惑感、「のぞき」見ることの背徳感、露乃と視線で通じ合ってしまった「コミュニケーション」への怯えと興奮、色んなものが入り混じっているように見えます。でなければ、惚れ込んだ露乃の腋を見るためにバスケの試合の観戦に忍び込むような暴走はしないでしょう。その割に必死に踏みとどまっている戸惑いも。初めての感情で頭がぐちゃぐちゃになっています。
現段階では18禁要素は一切ありません。ただ腋を見続ける少年に、露乃があえて見せてあげるシーンは非常に官能的。言葉にはしないけど、腋を見る見られる関係を双方が意識した瞬間です。露乃は誰にでも見せる露出狂ではなく、ピンポイントで少年にだけ見せた、というのが重要。たった1人の女性の腋に執着する少年。彼にだけ腋を見せる少女。無言の交流が行われる様は、コミカルながらもエロティック。のぞき見というより、女体崇拝のような空気すらあります。
1話時点でアクセル全開すぎて、このあとどうするのか読めない。2人の関係は……いずれにしても、青春を踏み外した暴走が始まるのは間違いなさそう。
まずはスナイパー君が、腋のどのあたりに興奮を抱いているのか気になります。やわらかな皮膚なのか、湿り気や体温なのか、筋肉の付け根ゆえの艶めかしさなのか。あと毛が生えていたらどうなのか、とか。彼の求める究極の腋として露乃に出会えたのが、幸せなのか不幸なのか。
どんどん面白くなる!?
現在は第3話まで展開中。タンクトップ姿の露乃が本屋で少年と出会ったり、メイド喫茶でのバイト中にまたまた遭遇したり、といろいろなシチュエーションでの掛け合わせが描かれています。
3月30日には第1話のWeb公開が始まりました。1話時点でも、少年が夢中になった美しき腋、盛り沢山なので是非読もう。ショタ好きにもオススメ。なお、雑誌の月刊コミックバンチはKindle Unlimitedに入っていたら無料で読めます。
(たまごまご)
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