【仕事のグチ、聞かせてください】職場の“匿名意見箱”を悪用した個人攻撃→退職に追い込まれたというお話(1/2 ページ)
相談窓口に通報しても「証拠にするには匿名性が高い」と泣き寝入り。
「仕事には楽しくないこともある」というのは誰もが知っていること。しかし、この言葉だけでは“楽しくないこと”の具体例は見えてきません。そこで読者インタビューを通じて、働く人の生の声を紹介する連載企画「あなたの仕事のグチ、聞かせてください」。
今回は「オフィスなどに設置されている“匿名意見箱”の悪用により、誹謗(ひぼう)中傷を受け退職に追い込まれてしまった」というAさん(女性/匿名)にお話を伺いました。
部署の内情まで把握している“匿名の投書”
―― どんな職場で働いていましたか?
約1年前まで官公庁施設で事務職として勤めていました。
―― 退職のきっかけは?
職場の匿名意見箱に、私個人や上司宛ての罵倒が送られるようになったんです。
意見箱に厳しい声が寄せられること自体は珍しくありません。それらは主に「この業務内容が悪い(例:掃除が行き届いていない)」というもので、とても参考になります。改善点が見つかるきっかけになり、「じゃあこうしよう」と考えられますから。
ですが、「この業務内容が悪い」ではなく「この業務内容が悪いのはお前が担当しているからだ」という風に個人攻撃する投書が不定期に送られるようになって。
特徴的な筆跡、「こんな業務をする貴方はさぞ優秀なのでしょうね」的な皮肉の言い回し、それから、部署の内情が分かっていないと書けない内容だったことから、私も周囲も「あいつか……」という感じでした。
―― 送り主の心当たりがあったんですか?
私のいた部署に以前、“問題行動を起こして他部署に異動になった男性職員”がいたんです。1年半ほど一緒に働いていて、「コミュニケーション面で面倒な人だな」と思っていました。
というのも、本人は職場のことを考えて行動していたつもりだと思うのですが、「自分の意見は全て正しい」「周囲の人間は見下す」「他の人が担当していることでも相談なしに手を出してしまう」というタイプで……。何かと問題行動を起こすので、どこも異動先として引き取りたがらないような人物です。
個人攻撃の投書でも「努力します」と貼り出し
―― その投書にはどう対応していたのですか?
匿名意見箱への投書は基本的に、回答を添えたうえで掲示板に貼り出していて。件の投書も「努力します」みたいに返して、掲示していました。他に回答のしようがなかったのです。
―― それでも、他の投書と同じように扱っていたんですね
こちらが不快に思ったから貼り出さないとなると「なぜ回答しない。やましいことがあるからだろう」とさらに追求されるでしょう。それに、私も周囲も「あの男性職員が書いたのだろう」と推測していたものの、匿名だったので断定ができなくて。万が一、違う人物からの投書だったら、それを無視してしまったことになります。
ほとんどの人は、掲示された件の投書を見て「くだらないことをするね」「こんなの気にしないで」という感じで、こちらに同情的でしたし、私も最初は「相手にするだけムダ」という感覚でした。
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