東京オリンピックの開催が2021年7月に延期された結果、東京ビッグサイトの利用制限が続けば、失われる売り上げは13万社・4兆円に及ぶ──展示会・見本市の関係企業などで構成する「日本展示会協会」(日展協)は4月7日、今後の見通しについて強い懸念を表明しました。五輪開催の影響に加え、新型コロナウイルス、五輪延期という「トリプルパンチ」を受け、展示会を商談の場として活用している中小企業にとっても死活問題だと指摘しています。
東京ビッグサイトは東京五輪・パラリンピックを取材する各国の報道機関が集まるプレスセンターとして利用され、工事などのため19年4月から20年11月まで20カ月にわたって利用が制限されています。
日展協によると、この影響で、展示会・見本市主催者に加え、装飾会社、レンタル会社など展示会をサポートする支援企業、ビジネスの場として活用している出展社など、合わせて8万3000社以上が約2.5兆円の売り上げを失うと試算しています。
さらに新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2月下旬以降だけでも約350の展示会が中止・延期に追い込まれているとのことです。
また20年12月から東京ビッグサイト全館が利用できるのを前提として、多くの展示会が開催を予定しています。既に出展社との契約を済ませている場合など、開催ができなければ大きな補償問題になることは必至だとしています。
五輪開催の影響で東京ビッグサイトが20年12月以降も利用できず、予定していた展示会が開催できなくなると、主催企業・支援企業・出展社合わせてさらに5万社が約1.5兆円の売り上げを失うと試算。売り上げ損失は合計4兆円に上り、日展協は「日本の展示会業界は再生不可能な痛手を負うことになる」と強い懸念を表明しています。
展示会・見本市は各業界の中小企業が自社の製品や技術を売り込む場として、また具体的な商談の場として重要な役割を果たしています。日展協は「今回の問題を単に『展示会・見本市会場や展示会産業だけの問題』ではなく、『日本経済の活性化と発展の問題』および『中小企業の救済策』と大局的にとらえていただき、展示会が通常通り開催できるよう、日本展示会協会は主張いたします」と求めています。
新型コロナウイルスの感染拡大で5月のイベント中止を発表したコミックマーケット準備会も、東京五輪の開催延期で東京ビッグサイトと幕張メッセ(千葉県)の利用制約が続けば多くのイベントに影響が出るとして、政府・東京都などに「同人誌即売会をはじめ展示会会場を必要とするすべての人々への十分な配慮を、強くお願いする次第です」とコメントしています。
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