定食屋チェーンの大戸屋ホールディングス(HD)に対し、外食大手のコロワイドが経営陣の刷新を求め株主提案する意向を明らかにしたことに対し、大戸屋HDは4月14日、「子会社化について正式かつ具体的な提案を一切受けていない」などと反論する見解を公表しました。
大戸屋HDは「株主の皆様を誤導しかねない本株主提案を公表したコロワイド社の一連の行為は、当社株主の皆様をはじめとするステークホルダーの皆様に無用なご心配をおかけし、混乱を招くものであり、甚だ遺憾であると言わざるを得ません」とコロワイドを批判しています。
この問題は、2019年10月に大戸屋HDの筆頭株主になったコロワイドが、業績不振に陥っている大戸屋HDに対し、「コロワイド傘下で業績の早期回復を図る」として経営陣を刷新する株主提案を行う意向を明らかにしたものです。コロワイドは新経営陣のもと、大戸屋HDの連結子会社化も検討するとしています(関連記事)。
コロワイドの主張では、大戸屋HDの経営陣に対し傘下入りを打診したものの、「独自経営に固執する現経営陣は初期段階よりこれを拒絶し、協議を進展させることができませんでした」としています。
これに対し大戸屋HDは「コロワイドと複数回にわたり面談を行い、当社の企業価値向上・株主共同の利益に資する提案は真摯に検討する旨を繰り返し伝えている」として、コロワイドの主張は「事実に反するもの」と反論しています。
またコロワイドに対し、子会社化を提案するのであれば具体的な条件・内容を正式かつ具体的に提案するように要請したものの、この日までに正式かつ具体的な提案を受けていないとしています。コロワイドが十分な情報を開示せずに子会社化を進める株主提案をすることについて、株主などの利益を守る観点から「強い懸念」を抱いているとしました。
コロワイドは大戸屋HDの株主に対しアンケートを実施し、回答者の9割がコロワイドグループ入りに賛同した──と発表していますが、大戸屋HDは「コロワイドの3000円の食事券という回答の対価と引き換えに、また、グループ入りが何を意味するのか、どのような方法によるのかなどの具体的な情報を一切開示することなく」行われ、株主優待の引き上げを示唆して賛成に誘導したと指摘。その結果を利用するのは「当社株主様に対して極めて不誠実」と批判しています。
また、コロワイドが「6億円以上の利益貢献がある」と主張したグループ入りによる相乗効果について、「当社の関与のもとで当社の事業に係る具体的な情報に基づく検討や協議を経たうえで算出されたものではなく、その根拠や実現可能性は全く検証されておりません」としています。
株主に対しては、コロワイドの情報開示の内容に留意した上で「今後の当社の情報開示の内容も踏まえ、慎重に行動して頂きますようお願い申し上げます」と述べています。
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