「ゾーン30」実施後の効果は?
ソーン30は実施初年の2011年度末で11都府県57カ所、2018年度末には日本全国で3649カ所まで増えています。
ゾーン30の導入経緯は、道幅の狭い生活道路における交通事故発生件数減少率の低さと歩行者・自転車利用者の死傷者が占める割合が高かったことにあります。
警視庁交通局が2017年に公開した資料「『ゾーン30』の推進状況について」によると、ゾーン30施行前年の2010年までの10年間で、車道幅員が5.5メートル以上の道路における交通事故発生件数は29.2%減少したのに対し、車道幅員5.5メートル未満の生活道路では8%の減少に留まっていました。
またこういった生活道路では、歩行者および自転車利用者の交通事故死傷者の割合が道幅の広い道路と比べて約1.7倍高かった結果が分かりました。
「制限が時速30キロ」についても理由があります。前述した「『ゾーン30』の推進状況について」によると、歩行者の交通事故致死率は、速度が時速20キロまでならば0.4%、時速20〜30キロで0.9%ほどですが、時速30〜40キロでは2.7%と、時速30キロを超えると急増します。
そのため、制限速度を全体的に低く設定しつつ、さらに、中央線をあえて消す、ハンプ(小さな段差)やシケインを設置する、路側帯を整備するなどの施策で、心理的、物理的の双方でドライバーが速度を出しづらく、また不要な通行(抜け道通行など)を行いにくくします。こうすることで、総じて重大な事故になるリスクを軽減する考え方となっています。
こうして2016年までに整備された全国3105カ所のゾーン30において、整備後1年間の交通事故発生件数は、整備前1年間と比べて平均で23.8%減少、そのうち歩行者・自転車が被害者となる事故も同19.4%減少する結果により、「ゾーン内における事故抑止効果があった」としています(出典:警視庁交通局 2017年12月「『ゾーン30』の推進状況について」)。
各都道府県警察は、今後も引き続き公共施設、病院、児童遊園など、特に高齢者や子どもが利用する施設を含む区域を中心にゾーン30の整備を推進していくとしてます。
クルマを運転する人は全員、普段から交通法規を順守して穏やかに運転することを前提に、「ゾーン30」の標識や表示を見かけたら、あらためて一層の安全運転を心掛けたいですね。
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