バーチャルYouTuber、マシーナリーとも子による不定期コラム第27回(連載一覧)。今回はなぜか5月半ばごろから急に流行りはじめた無料PCゲーム「Helltaker」(Steam)を紹介。最近なんかやたらイラスト見かけるけどあれ何!? って人は取りあえず無料だから遊べ!
ライター:マシーナリーとも子
徳で動くバーチャルYouTuber(サイボーグ)。「アイドルマスター シンデレラガールズ」の池袋晶葉ちゃんのファンやプロデューサーを増やして投票してもらうために2018年4月に活動開始。前世はプラモ雑誌の編集をしていたとも言われているが定かではない。現在は自分のグッズを売ったりライターやったりして糊口をしのいでいる。お仕事募集中。
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/user/barzam154
wiki:https://wikiwiki.jp/mashitomo/
ポータルサイト:https://www.machinery-tomoko.com/
Helltaker流行って!!? ……流行ってるじゃん
地獄の断頭台! マシーナリーとも子よ。
人類どもよ、最近Twitter上でやたら「白い髪に赤い目と服の悪魔っ子」のイラストを見るようになったと思ってないか? その作品の名は「Helltaker」。5月中旬に突如地獄からSteamに引き上げられてきたインディーゲームだ。
私も発売数日後にその存在を知ってあまりの良さに完全にノックダウン、流行ってくれ〜! と騒ぎはじめたんだけどなんか見事に流行った。思ったよりめちゃめちゃ二次創作イラスト描かれたりしてるのでビビってしまった。こんなことってあるんだ。
で、普通だったら「無事流行ってくれたしこの状況をただ謳歌(おうか)しよう……。そうだな、YouTubeで1回レビューするくらいでいいかな」とか思ってたんだけどもあまりに流行りすぎた影響でフォロワーとかから「最近『Helltaker』って流行ってるみたいだけどアレってなんなの?」みたいな質問をされるレベルになってしまった。すごいな。なので今回はあらためて「Helltakerって何? どんなゲームなの? 家族は? 年収は? パンケーキが作りたくなるって本当?」ってあたりを紹介してしていこうと思います。そしてこのゲーム、なんと無料、クリアまでにかかる時間も1〜2時間と激烈手頃なので読んだらやりなさい。わかったか。
ゲームとしての建て付けがめちゃイイ
このゲーム、側から見るとあまりに悪魔っ娘たちの絵ばかり流れてくるので「どんなゲームなんだ?」と思う人が多いみたいなんだけど基本はパズルゲームだ。
歩数制限がついた倉庫番タイプのパズルを解いて、奥に控える悪魔っ娘に接触すると会話イベントが発生。ナンパに成功すればステージクリアという構成になっている。
ある日、悪魔っ娘とイチャつく夢を見て目覚めた主人公は夢を現実とするために地獄に降り立つ。全ての悪魔っ娘を口説き、地獄のハーレムを作り出すというのがゲームの目的だ。その行動力はなんなの?
「Helltaker」でいちばんウケているのがキャラクターの造形というのは疑いようもないところだがパズルゲームとしても完成度が高い。
先述した通り基本的なシステムは「倉庫番」なんだが、これにステージごとに定められた「意思」というポイントが添えられている。「意思」は歩く、障害物や敵を蹴ると行った行動を取るごとに消費していき、0になると主人公は死ぬ。また、途中で「こりゃクリアできねーな」と思ったときはRキーを押すことでリスタートが可能だ。
この死亡、リスタートを選んだときの挙動が見事で、いちいち「コンティニューしますか? Y/N」なんて選択肢が出たりしない。小気味いい挙動とサウンドを備えたアイキャッチを一瞬挟むだけで即、次のゲームが始まるんだ。これがあまりにも気持ちいい。「くそう! クリアできねえ!」と落ち込んでる暇も与えられずにすぐ気持ちが次のゲームに向いていく。この設計がかなりスゴイ。気持ちいい。
気持ちいいのはサウンド面とビジュアル面にも出ている。ゲーム中もっとも聞くことになるパズル中のBGM「Vitality」は「コッカカカンカン」というリズムがあまりに気持ち良すぎるしその音に合わせてマップ上のキャラクターたちも常にリズムに乗っている。これがかわいい。永遠に見てられる。そんな楽しいリズムに乗りながらパズルに挑戦していると死ぬ(パズルは難しいので)。すると先述したアイキャッチが入るんだが、このアイキャッチが小気味良すぎてゲームのBGMの気持ちいいリズム感をまったく邪魔しないんだよね。いやこのなにやってても気持ちいい感じがとてもすごい。普通パズルって解いたときがいちばん気持ちいいはずじゃん。でもこのゲームは解けなくて死んだときもめちゃめちゃ気持ちいいんだよ。気持ちいいから解けなかったときのリスタートを押す手つきも軽くなってしまう。製作者のvanripper氏は基本的にはあくまで絵描き・アニメーターのようでゲーム作りは本業ではないっぽいのだけど、この練りに練られた設計には舌を巻いちゃったね。
キャラデザ良すぎ罪
で、ゲームの良さを語ったところでキャラクターの良さに移ろう。私がこのゲームのキャラデザでものすごい好きなところ、まあ単純にかわいいとかカートゥーンぽさがあっていいとかもあるんだけど、服装と色彩の統一感とそれでいてしっかりキャラが立ってる作り分けの妙がすげえなあ〜〜って思ってるんだよね。
登場キャラのほとんどはスーツスタイルなんだけどみんな着こなし方が違くてオシャレなんだよね〜。
さらにスーツスタイルの悪魔たちはカラーリングも統一してされてるのがすごい。みんな赤みあるグレーの肌、白い髪、黒い背広、赤い目とシャツってのは同じなんだよね。すげーよなこれ。たくさんいるキャラクターを差別化しようとしたらさ、普通はカラーリングが違うとか服装が違うとかで差別化するもんじゃん? そこを統一した上でこれだけ個性あるキャラデザができるってのはものすごいセンスを感じさせるぜ。すごすぎる。
で、女の子たちとの会話から伺える性格もものすごくキュートなんだけど……まあこれについてはあまり語るまい。ゲームを楽しんで君の脳で咀嚼(そしゃく)してくれ。
強いて言えばマシーナリーとも子はルシファーとパンデモニカ、モデウス、ジャスティスあたりが特に好きです。でも箱推しです。みんな好き。
日本語化パッチを使え!!
そうそう、翻訳についても触れておこう。このゲーム、そもそも日本語はサポートされておらず私も1周目は英語をなんとなくで読み解きながらプレイしてた。が、現在は陽炎01型(@kagerou01gata)氏が制作した素晴らしい日本語化パッチがあるのでこれをエイヤと導入することで日本語での滑らかなゲームプレイを楽しむことができる。キャラクターごとの口調や一人称、意訳もバッチリで、するすると悪魔のキュートさを摂取することができる。いま「Helltaker」を遊ぶなら導入しない手はない最高の翻訳です。翻訳にあたっての手記もめちゃめちゃ面白いのでおすすめ。
ヒントちゃんと見ろ!!!
さてゲームの内容はわかった。曲の快感やキャラのかわいさ、翻訳を入れたほうがいいというのも君は理解した。物わかりのいい君は既に「Helltaker」をインストールして遊びはじめているかもしれない。だが、もしかしてこんなことを考えていないだろうか?
「なるべく自力でパズルを解くぜ! ヒントを見るなんてもってのほかだぜ!」と。
だが待ってほしい。パズルを自分の力だけで解こうとしないでほしい。Lキーを押してヒントを読め! 読めって言ってるだろ!!! 私も1周目はそうだった。パズルは自分の手で解くのが正しいのだと。そしてヒントは読まなかった。だが2周目を遊んだときにふとヒントキーを押してみて後悔した。
めっちゃ悪魔喋るじゃん! 会話シーンすごいあるじゃん!
これはびっくりした。1周目でヒント読まなかったの、損じゃん。なんか勝手にもっと淡泊なヒントが画面上にウィンドウで表示されるとかそんなもんかと思ってたらここでしか聞けないキャラクターのやりとりとかめちゃめちゃあるじゃん!!
しかも選択肢によっては死んだりもする!!! ヒントなのに!!!
っていうかまともなヒントが提示されるステージあんまりねえ! 機能上はヒント表示となってますが実質的にはただの悪魔とのキャイキャイ会話機能です。だから積極的にLキーを押せ。悪魔と会話しろ。かわいいから。
さらに女の子と会話しているとだんだんこんな欲望が芽生えてくるだろう。
「正解の選択肢はこっちじゃない気がするけど、逆の選択肢を選んだらどうなってしまうのだろう?」と。
結論から言うと間違った選択肢を選ぶと死ぬのだが、君は完全にこのゲームのキャラデザとBGMとビジュアルの良さで発狂しているので「どんな死に方をするのか見たい! テキストを一通り読みたい!」と思っているはずだ。
だが死ぬと当然パズルはもう一度解かなければならない。君たちは大抵記憶力がバカなのでついさっきクリアしたはずの手順を忘れてしまっている。「もう一度パズルをクリアしなきゃならないのか!? 拷問だ」と絶望もするだろう。だが待ってほしい。落ち込まずにESCを押してみてほしい。するとメニューが出てくるね? そのメニューにこんな不思議な文字列があるはずだ。「パズルをスキップする」という……。
そうなんだよ。このゲーム、パズルゲームなのにパズルをスキップできちゃうんだよ! パズル解かなくていいんだよ! んで、特にデメリットは、ない!!
正確には「ラストステージは別ゲーになるのでパズルのスキップだけではクリアできない」「隠しエンディングを見るためにはパズルを解いてアイテムを探す必要がある」という面もあるんだが、最終面は真面目に解いたって別ゲーをやらされるし、隠し要素なんかは一度エンディングを見てからステージセレクト機能を駆使して探せばいいので関係ねえ。とっとと済ませて最高にハッピーなエンディングを見なさい。それにしてもなんて快適で親切なゲームなんだろうか。気持ちが行き届いている。本当に素晴らしい。
金を払おう
ゲームをクリアした後君に訪れる感情は十中八九「なんでこんなよくできた作品がタダなんだ?」という疑問だろう。地獄に魅せられた君は制作者に金を払いたくて払いたくて仕方がないはずだ。そんな君はDLCのアートブックを買おう。買いなさい。1000円払うことができるしゲームでは語られない悪魔関係やパンケーキの作り方などの見逃せない情報がたくさん描かれていて死ぬ。
あと制作者はPatreonをやっているのでここから金を払うこともできる。私も月10ドルを払いはじめました。好きすぎるコンテンツには金を払いたいので……。君も払え!
というわけで今回「Helltaker」について紹介しました。いや、マジでこんなに流行るとは思わなかった。こうなったらもっと流行ってフィギュア化とかされてほしいマジで。なんとかなりませんか? ここまででも語った通り、タダで、サクッとクリアできるので君も今日から地獄に落ちよう! いやマジでいいものに出会えました。ありがとう。
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