家にいる時間を使って読書をしたくても、図書館は閉館していたり、書店も休業を余儀なくされていたりするこのごろ。欲しい本がわかっていれば通販で買える便利な時代ですが、書棚の間をふらふらして気になった本をピックアップして読む楽しみ、偶然新しい本と出会う楽しみは、代えがたいものですよね。
Kindle Unlimitedはまさにその「ふらふら読み」をかなえてくれるサブスクです。今回は、私が今まで読んだ本・雑誌・漫画の中から、オススメのコンテンツ5つをご紹介します。
(1)東京カレンダー
キラキラ女子、港区女子のTwitterを眺めるのが好きだった人へ!
キラキラ女子アカウントが絶えて久しい昨今。べつに自分がセレブになりたいとかではないけれど、あのバブリーな世界観が忘れられない……。そんな失われた「東京」幻想を、この2020年にも相変わらず見せてくれるのが「東京カレンダー」という雑誌です。
一応グルメ・デートプラン雑誌なのですが、取り上げられている店が一生に一度行く機会があるかないかというような、老舗寿司店やグラン・メゾンと呼ばれる高級フレンチ、会員制バーなど、非日常感がすごい! またストーリー仕立ての記事の登場人物の設定も経営者、元モデルヨガ講師、パワーカップルなど地に足がついておらず、まるで小説のよう。
ノリがオジさん臭いのは否めませんし、合コンは「お食事会」、飲み放題は「フリーフロー」といった気取った言葉遣いも気になるのですが、それがまたクセになる! まさに唯一無二の雑誌です。家から一歩も出ずに高級感やキラキラ感が味わえ、都会の空気が吸えます。
特にオススメのバックナンバーは、「何もしない週末旅」「大人が楽しむハワイ」。旅行特集だけあって、そのラグジュアリー感はほぼ異世界です。
(2)崎田ミナ『職場で、家で、学校で働くあなたの疲れをほぐす すごいストレッチ』
在宅勤務で体がバキバキの人へ!
緊急事態宣言が解除されても、在宅勤務はしばらく継続、という会社も多いですよね。通勤しなくていい一方で、気になるのは運動不足。ずっと座っているとお尻も痛くなってくるし、少し体を動かしたい。というか家の机が体に合ってなくて、腰や肩に不調が出てきた……。そんないまの状況にぴったりなのが『すごいストレッチ』。
Twitterでバズった「肩甲骨はがし」「ずぼらヨガ」「ながら筋トレ」などのシリーズでおなじみ、イラストレーター崎田ミナさんのストレッチ講座。今回は、「職場で、家で、学校で」をコンセプトに、仕事や勉強の疲れをほぐすストレッチが一冊にまとまっています。家や会社の「壁」や「事務机」「階段」などを活用したコリほぐしでリフレッシュ! 短時間で仕事の合間や寝る前に作業能率もアップするはず。
崎田さんのイラストは、ストレッチの仕組みを筋肉・骨の人体図で図解しているのが特徴。コリが起こる原因もビジュアルで頭に入ってくるので、予防に役立ちそう。自宅には資料用の人骨模型まであるという崎田さん、さすがです……。
(3)黒木あるじの怪談実話シリーズ
ネットの“洒落怖”は読み尽くしたという人へ!
『怪談売買録 拝み猫』は、著者が母校の学園祭で出展した、「怪談売買所」で収集された怖い話。「ご自身や家族・友人などが体験した不思議な話を聞かせてくれたら、100円で買い取ります」というコンセプトの目新しさもあり、ぜひ聞いてくれと来場する怪談マニア、通りすがりに立ち寄った人、そして会場の警備員さんまで、さまざまな人が「実際に語った」立体感のあるお話が特徴です。
著者の黒木あるじさんは他にも怪談実話シリーズを展開しており、不思議な体験を持つ人に著者がアポイントをとり、インタビューを行う形式が基本。怪談を集め続けてきた著者ならではの冷めた目線と、そんな目線から語られるからこその怖さがあります。時には「この話はありきたり、ハズレだな……」と内心落胆していた取材が、質問を重ねていくうち、話し手も聞き手も青ざめるような事実にたどり着いてしまうスリラーな展開も。
中でもおすすめは、ネット怪談として有名な「くねくね」の原型ではないか? とされる怪談が収録されている『怪談実話 終』。どの話も1〜2ページで完結するショート・ショートでありながら、考え尽くされた構成のため、最後までページをめくる手がとまりません。
(4)阿澄思惟『忌録:documentX』
夜中に未解決事件のWikipediaとか読んで眠れなくなっている人へ!
ホラーが苦手な方はごめんなさい! でもKindle Unlimitedの名作といえば、やっぱりこれ。実在するブログサイト上で全編公開され話題を呼んだ「綾のーと」をはじめ、4作の短編ホラーが収録されています。
タイトルのとおり、「実際に起きた忌まわしい事件の記録」というコンセプトで書かれたフィクション。週刊誌記事や手記、手紙などの寄せ集め形式でつづられており、資料から「何が起きたのか」推理・考察するのが楽しい! 読了後、考察をネットで共有するところまでがこの作品の醍醐味です。
(5)小林薫『霊能者ですがガンになりました』
ホラー好きだけど怖がりな人へ!
ホラーですがこの作品はちょっと異色。ホラー漫画『強制除霊師 斎』のモデルであり、原作監修をつとめる霊能者・斎の乳がん闘病記。本編ではかっこいい! 最強! ドS! なイメージで次々と霊を「連行」したり「潰し」たりしている斎さんが、一人の人間として病と向き合う姿が描かれています。霊能者といえど、自分の運命を好き勝手にできるわけではない、
また、個人的には病院選びの難しさ、セカンド・オピニオンの必要性についても考えさせられました。
なお、斎さんの霊能者としての活躍が描かれる本編『強制除霊師 斎』(全8巻)もKindle Unlimitedで全巻閲覧可能。無双系のホラーで、どんな霊も秒速で除霊されてしまうので、深夜でも安心して読めるのがいいところ。
オススメは第8巻「自殺女房」に収録されている「自殺霊は錯乱する」。旅行先で衝動的に死を選んでしまい、その事実を受け入れられない自殺霊が、理解のある職場の同僚たちの暖かい対応(供養)によって、落ち着きを取り戻して行く様子に泣けます。ホワイト企業は、死者に対してもホワイト対応なのか……。
また、スピリチュアル系エッセイ漫画家・流水りんこ氏とのコラボレーション漫画『流水さんちの浮遊霊』もアンリミに入っています。本編よりもリラックスした様子の斎さんが、「家なんて霊の一人二人くらいいるのが普通」とぶった切ります。いずれもホラーながら絵柄もマイルドでそんなに怖くないです(※注:筆者の「怖い」は中山昌亮『不安の種』が基準となっております)。
※記事掲載時点でKindle Unlimitedで閲覧できる本を対象としています。対象外となった場合はご了承ください
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