自分の葬式に流す曲は何にするか。重要なようで多くの人があまり真剣に向き合ったことがないであろうテーマを描いた漫画「liveforever」が、読んだ人たちの心を強く打っています。1つの出会いが希望と悲劇への道につながっていく……。
話は、会社員の「浦田」が不安や不満から、深夜のホームで電車に飛び込もうとするところから始まります。今まさに飛び込もうか……というその瞬間、浦田に声を掛ける1人の女性が。「あのー 今、飛び込もうとしています?」
この女性の名は、山田。驚く浦田に、山田は「ダイヤが乱れます」「莫大(ばくだい)な損害賠償を請求されるかもしれません」と変わった方向から飛び込みをやめるように説得を始めます。さらには、「葬式に流す曲……ちゃんと、決めてるんですか?」とまで。
予想外の展開に冷静さを取り戻し、号泣し始めてしまう浦田。介抱されファミレスへ行き、2人で話し込みます。しかし山田は、「死ぬことはれっきとした逃げ場でしょう」「葬式に流す曲って死ぬことより大事だと思うんですよね」と相変わらずの変わり者ぶりです。
さらに葬式で流す曲の重要性を語る山田。浦田も「いや、なんか、わかります。自分のも昔、趣味で曲を作っていたので」と少し賛同を示します。山田がどんな曲か聞きたいとリクエストすると、ためらいながらもスマートフォンに保存していた曲を聴かせる浦田。
そこに収められていたのは、「生きてぇ!」「とにかくなー生きてー」というシンプルで力強い歌詞でした。曲のタイトルは、「生きたいだけ」。洋楽「Live Forever」パクリだというこの曲に山田の評価は、「微妙です」。
しかし浦田はこの出会いをきっかけに「いつだって死ねる」と気持ちに変化が起こり、上司の叱責(しっせき)にも強く言い返せるようになりました。そうして数日がたったある日、また山田と再開。「調子も良いし久々に小さいところでライブをしようと思う」と誘うと、見に来てくれることになりました。
ライブ当日、「生きたいだけ」を歌う浦田。終わったあと2人で飲みに行き「僕の曲どうでした?」と尋ねると、山田からの評価は「微妙ですね」。しかし、また来てくれるか尋ねると、とても良い笑顔で了承してくれるのでした。
翌日、仕事中の浦田に、山田から電話がかかってきました。出ると通話相手はなぜか山田の弟。そして弟の口から語られた言葉は、「姉が、深夜に亡くなりまして――」。
一体なぜ。この続きは、ぜひ読んで確かめてみてください。今までの山田の言葉と言動が1本の線につながっていく最後の数ページは、悲しくもどこか納得させられてしまう不思議な力があります。
この漫画に読者からは、「すべての展開に心打たれました」「好きだけど悲しくなった。面白いけど笑えなかった」「電車で涙目かましました」「数多くあるTwitter漫画の中で断トツに一番感動した」「泣けるけど、とても良い」といった声が寄せられていました。
この漫画を描いたのは、くそごりさん(@kusogoli)。他にもさまざまな漫画作品を公開しています。
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