野島梨恵からのアドバイスは、尾行をしたことが即座に違法で、損害賠償に値するとは考えられないというもの。
「何日もずっと見張ってるってなったら、それはちょっとやめてくれってお話しになると思うけども、アナタは別に見張ってたわけでもなくて、たまたま友達に加勢を頼まれたから、ちょっと助太刀みたいに行ったわけでしょ? ……まあ、それは若干、しなくてもいいことでしたけれども」
もうひとつ、スーパーにいる時の写真を撮ったことも、わざわざ弁護士を雇って損害賠償請求をしてくるような話ではないと説明。
「ま、確かにそれもまた、せんでもいいことでしたけれども」
要は、内縁の妻にバレていたと知って逆上した不倫(?)女性が、八つ当たりで相談者へ「訴えてやる!」と言った……くらいのことなのだろう。しかし相談者は、まだ心配なことがあるという。
内縁の妻が、夫のカバンから(不倫相手からの)手紙を見つけたそうで、その件に関しても相談者が巻き込まれているというのだ。
「不倫をしている女の方が、『普段、その手紙は私が持ってるものなんで、私の勤務中にロッカーを漁って盗りましたよね?』と私が容疑をかけられているっていう……」
「そのことも、損害賠償の対象だみたいに言っているわけ? それでご不安になられている?」
「そうですね、ちょっとはじめてのことだったのと……。あと、会社からは、会社で私自身、やらなくていいとこまでやってしまったので、それはもちろん処罰とかくらう感じなんですけども」
え、相談者が処罰されるの? 職場内不倫の方が問題じゃない!? 不倫をしている男女の方が圧倒的に地位が上なのか、弁が立つのか、単に相談者が弁解できないほどのアホなのか……。
野島梨恵は、とにかく全部ひっくるめても、弁護士費用がまかなえるほどの損害賠償が取れるような話ではないと語る。
「今現在、来るか来ないか分からんものについて心配してもしょうがないから、それはもう来まで忘れる」「まあ、ちょっと職場の中、やりづらい雰囲気になっちゃってるかもしれないけども、人の噂も終わることは終わるんで、気にしないで仕事することだと思います」
普通、ウワサを気にするのは不倫をしている方だと思うんだけど、どうしてここまで相談者が追い込まれてしまっているの? どんな職場なんだ……。というか、そもそも同僚男女は本当に不倫をしていたのだろうか。いろいろと説明不足でモヤモヤする相談だった。
加藤諦三が引き取る。
「むしろね、心理学の方から見ると、本当はアナタ自身が今、不満だよね?」
「今……不満です、はい」
「デマとかウワサとかっていうのはね、なんでこんなに広がっちゃうか。理由はただひとつ、不満なんです。人々が不満な時ほどデマは広がります」「とにかく仕事に満足を求める。そういう姿勢になったら自然と、わざわざつけて行って写真を撮るなんて、そんなことしないですよ」
いらんことばかりしてしまう相談者の行動が理解出来なかったのだが、最後の諦三さんからのアドバイスですごく納得できた。
職場でもパッとしないポジションで、おそらく恋人もおらず……。そんな時に女友達から相談を受けて、余計な正義感&やる気、そして野次馬根性を出してしまったのだろう。
「不満のある人ほどデマに関心を持ち、デマを信じます」という締めの一言は、SNSの炎上に加担する人たちや、自粛警察にも通じている。
これまでの「テレフォン人生相談」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.