高速道路の一部路線、区間で最高速度が「時速120キロ」に引き上げられます。
警察庁は2020年7月、新東名高速道路などの一部路線、一部区間で最高速度を時速120キロに引き上げられるよう、交通規制の基準を改正する方針を決定。早ければ8月に基準改定、2020年度内に実現する見通しと報道されています。
今回は、「高速道路、ついに時速120キロ解禁」とはどういうことか、何がどう変わるのかをサクッと解説していきます。
高速道路の速度規制引き上げは2020年8月現在、試験的に新東名の新静岡IC(インターチェンジ)〜森掛川IC間(約50キロ)と、東北自動車道の花巻南IC〜盛岡南IC間(約27キロ)の2区間で、2017年に時速110キロ、2019年には時速120キロまで引き上げて安全性などの検証が行われています(関連記事)。
最高速度引き上げ区間は、上記の2区間に加えて、新東名の御殿場JCT(ジャンクション)〜浜松いなさJCT間(約145キロ)、東北道の浦和IC〜佐野スマートIC間(約53キロ)、常磐自動車道の柏IC〜水戸IC(約71キロ)、東関東自動車道の千葉北IC〜成田JCT(約26キロ)となる可能性が高いとされています。
最高速度引き上げが想定される区間
- 新東名高速道路 新静岡IC〜森掛川IC間(約50キロ)
- 新東名高速道路 御殿場JCT〜浜松いなさJCT間(約145キロ)
- 東北自動車道 浦和IC〜佐野スマートIC間(約53キロ)
- 東北自動車道 花巻南IC〜盛岡南IC間(約27キロ)
- 常磐自動車道 柏IC〜水戸IC(約71キロ)
- 東関東自動車道 千葉北IC〜成田JCT(約26キロ)
対象は現行で高速自動車国道における最高速度が時速100キロである車両──普通乗用車、バス、バイク、最大積載量5トン未満の中型トラックなどです。大型トラックなどの大型貨物車は現行通り時速80キロ制限のままとなります。
「高速道路の最高速度」はどうやって決まる?
道路における最高速度は、実勢速度ではなく、道路構造などから定められています。道路構造令という法律で定められた「道路区分」と「設計速度」が基準になります。
道路区分は道路構造令の第三条で定められています。全4種あり、高速道路は「第一種」もしくは「第二種」として整備するように決まっています。
さらに、計画交通量や地形、地区によって、第一種道路は第一級〜第四級、第二種道路は第一級と第二級の6つに分けられています。
この道路区分によって幅員や路肩幅、設計速度が決まります。設計速度は道路の勾配やカーブの半径(きつさ)なども考慮されます。
この設計速度を超えない範囲で、これまでは上限を「時速100キロ」などと最高速度を決めていました。なお、広く、車線数も多く、きついカーブがない、新しい路線、例えば新東名の設計速度は全区間で「時速120キロ」ですが、一部区間は将来を見据え、それより高い時速140キロを担保する構造となっています。
2020年現在は、設計速度を元に「構造適合速度」も定めています。構造適合速度は「曲線半径、片勾配、視距、合成勾配、縦断勾配、車線幅員、路肩幅員の各要素における道路構造令の規定値から設計速度の値を逆引きすることにより抽出する」(警察庁 平成20年度 規制速度決定の在り方に関する調査研究 報告書より引用)ものです。
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「引き上げられますが、必ず110キロで走行する必要はありません。交通状況に応じて安全運転を」と静岡県警。後日、東北自動車道でも試行予定です