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「何か」がたくさんいる。ツマ子さんは声に返事をし始めました。「あけてー」「あけてー」に対し、怒気を強め、「だめ」「開けない!」と返し続けたのです。
するとドアの向こうの何かは、「なぁんでー?」と、初めて違う言葉を返してきました。
ツマ子さんはぞっとするような恐怖を味わいましたが、ここでひるんではいけないと思い、「開けない! 今すぐそこから立ち去れ!!」と大声で叫んだそうです。
しばらくすると、ドアが開きました。そこには不安そうにしているイチローくんがおり、ツマ子さんは安堵のあまりイチローくんをぎゅっと抱きしめます。どうやら「何か」はドアの前から去っていったようです。
しかし翌朝、イチローくんが不意に「ねーママ」と話しかけてきました。ツマ子さんが話を聞くと、「くものひとどこいったの?」と言うのです。「ホラ、きのう2かいにいた、足がいっぱいのひと。むしのクモみたいやったやん」。
その一言で、ツマ子さんはぞっとしました。あの夜ドアの向こうに見えた影は、「たくさんの何か」ではなく、「1つの身体に足がたくさんある何か」だったのです。
イチローくんにその後くわしく話を聞いたところ、イチローくんがトイレから戻るとき、寝室のドアの前にいた「くものひと」は、ちょうど隣室に入るところだったといいます。寝室の隣は、長く片付けていなかった物置部屋だったそうです。ツマ子さんは部屋が整理されていないことが「何か」が出てきた原因かもしれないと思い、それ以来掃除や換気を心掛けているといいます。
画像提供:ツマ子(@tumakonofamily)さん
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出かけたとき、鍵を閉め忘れた気がする。