パンケーキはそれぞれマリオの赤色、ルイージの緑色となっており、その間にクリームがぎっしり挟まっております。試食ということでルイージのパンケーキサンドをいただいたんですが、これが普通においしい。かなり甘めな味付けではありますが、甘いのが苦手だったり、モツ煮とか焼き鳥とかを食べたい気分でもない限りはおすすめです。
その横に建つストアの方は、マリオのグッズが所狭しと並ぶスーベニールショップ。各種アパレルやクッションやお土産用のお菓子、さらに「これはもう買って即自撮りに使うんだろうな……」というマリオとルイージの帽子なんかもぎっちり並んでおります。注目したいのはこのあたりのグッズのなんとも言えない女子力の高さ。
よく見ると「ハンドクリーム&リップクリーム」みたいな自分が生まれてこのかた買ったことがないようなアイテムも並んでいるし、お菓子が入っている缶の色なんかも全体的にペールピンクで統一されていて、「マリオ! ファミコン! レトロゲーム!」みたいなオタク感は皆無。スーパーポテトの店内的な空気は、原子レベルで除去されています。マジですごい。
先ほどのカフェのメニューや内装もいわゆるインスタ映え完全対応なムードだったな! ……と思って店の商品を見ていたのですが、そう意識して見ていると店内に「マリオの顔」「マリオの全身像」がないのです。「ちょっとしかない」とかではなく、マジで1つもない。
あるのは赤と緑というイメージカラーと、帽子とヒゲの意匠のみ。徹底した意思を感じます。いつものマリオやルイージ、ピーチ姫といったおなじみのキャラクターを帽子とヒゲと王冠という要素のレベルまで分解した後、インターネットのコロシアムでガッチリ映えるように緻密に再構築し直す……! そんな統一されたディレクションの存在をビンビンに感じます。
さすがにもう見慣れてしまったのでなんとも思わないですが、そもそもマリオは「オーバーオールを着て帽子をかぶった、口髭を生やしたおじさん」という、インスタ映えからはかなり距離がありそうな見た目をしています。
加えて35年の歴史が積もっているので、それなりに文脈が乗っかったキャラクターなのも事実。幅広い人たち、特に若い人たちに向けてこのキャラクターをプレゼンし直すためには、そんな文脈と歴史を持ったマリオを分解しヒゲと帽子だけを残して、そこに「これは誰の帽子でしょう?(WHOSE CAP?)」という謎かけを残すのがベストだとユニバーサル・スタジオは判断したのでは。そしてその結果が、マリオ・カフェ&ストアなのだと思います。
というわけでこのマリオ・カフェ&ストアは、「すでに広く世に知られているキャラクターを、それを知らない人や世代に向けてプレゼンしなおす」とは一体どういう作業なのかを知るためには、かなり勉強になる試みとなっております。
ユニバーサル・スタジオも任天堂も、キャラクターを生かすことに関しては世界屈指の強者なのは間違いありません。その2社がタッグを組んでマリオというキャラクターを新たにプレゼンテーションしようとする場合、どういう方向を向くことになるのか。
今回のマリオ・カフェ&ストアからは、そのベクトルが感じられるように思います。そして今回の状況を見る限り、来春開業のSUPER NINTENDO WORLDはその壮大な実験場になるのは間違いなさそうです。その予習としても、今回のマリオとのコラボレーションは見逃せません。「2020年にマリオをプレゼンしなおす」とはどういうことなのか、是非とも実地で見てみるのをオススメします。
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