公開から10日間で興行収入100億円を叩き出し、今も快進撃を続けている劇場版『鬼滅の刃』無限列車編。「バスの時刻表並み」とまで言われた過密な上映回数でも話題になりました。
2児の母であるチカ母(@Chika_mother)さんが、劇場版『鬼滅の刃』をきっかけに、かつて映画館で働いていた経験について漫画にしています。
映写係ってどんな仕事?
チカ母さんが映画館で働いていたのは、今から15年ほど前のことです。チカ母さんの役割は映写係で、インカム、デジタル時計、映写専用のタイムテーブルという3つの必須アイテムを携えて仕事に当たっていました。
映写専用タイムテーブルには、何時からどのスクリーンで映写が開始されるかが詳細に書いてありますが、だいたいどのスクリーンでも20分おきに上映が行われるため、映写係は大忙しでした。中には、フィルムは1本しかないものの、上映が行われた20分後には別のスクリーンで次の上映がある……という場合もあったといいます。
そんなときはアナログ方式です。上映終了後、巨大なフィルムを次のスクリーンの映写機まで人力で運んでいくのです。フィルムは非常に重たいため、これは大変な重労働で、あまりにスクリーン同士が遠いときは台車を使っていました。
「鬼滅の刃」はどうやって上映しているのか
そんな映写係時代の重労働が特に印象に残っているチカ母さんから見ると、今回の『鬼滅の刃』のスケジュールは「こんなえげつないスケジュール見たことない」「しかも全スクリーン使うっぽい! フィルム移動どうするの!?」と困惑気味です。チカ母さんの予想では、フィルムを3本借りて、それを順番に使いまわしているのではないかということでした。
この映画フィルム、配給会社から届くときはドラム缶のような容器にピザほどの大きさのフィルムが5本ほど入った状態で送られてきます。これを手作業で1本に繋いでいき、ひとつの大きな円盤状にするのです。巻いたフィルムは中央に金属製の輪をはめることで固定します。
ただ固定したといっても、フィルムは巻いてあるだけなので、万が一落としてしまうと……大変なことになります。せっかく巻いたフィルムがすべてほどけ、バラバラになってしまうのです。
この状態になったら手作業で巻きなおす以外の方法がなく、その日の上映はほぼ不可能になってしまいます。さいわいチカ母さんはこのミスを犯したことはないといいますが、かつて先輩映写係が最終上映後にフィルムを落としたときは、従業員3人がかりで翌朝4時まで巻きなおしたそうです。ひええ……。
スケジュールの大変な映画であわててフィルムを落としてしまったら、本当に大変なことになるのは明白です。チカ母さんは「鬼滅の刃の上映スケジュールがえげつない映画館の映写係!!!! 台車あるなら絶対使お! あと社員とかヘルプ呼ぼ!」とシャウトするのでした。
今の映画館は……?
しかしこの漫画作品を投稿したあと、チカ母さんは読者のコメントにより、現在の映画館ではもうフィルムが使われておらず、すべてデジタルであることを知ったそうです。よかった……忙しすぎてフィルムを落下させる映写係はもうどこにもいないんだ……! 先輩の悲しいミスを思い出しつつ、ほっと胸をなでおろしたチカ母さんなのでした。しかしこのスケジュール、映画館従業員のみなさんが大変なのは変わりません。映画館で働くみなさん、どうぞご無事で……!
出典:ライブドアブログ
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